事業再生と個人保証

事業再生を考えるうえで、「個人保証」は避けて通れない問題です。

なぜなら、会社は金融機関から運転資金などを借り入れており、借入には経営者が個人保証することが一般的であるため、いかなる手法であれ会社が事業再生を実行すれば、金融機関は「期限の利益が喪失した」として経営者の連帯保証債務の一括弁済を求めようとするからです。

会社の事業再生を実行したことにより、経営者が金融機関による連帯保証債務の支払が苦しく、「生活が苦しく事業再生どころではない」となると元も子もありません。

保証人となった多くの方が、連帯保証責任を過度に重く考える傾向にありますが、一般論としては、保証人に回収できる資産がなければ、債権者としては、長期分割交渉に応じざるを得ない実情がありますので、債権者側から問題を捉える冷静な対応が重要になります。

 

■ 「経営者保証のガイドライン」の活用について

金融庁は平成25年12月に「経営者保証に関するガイドライン」の積極的な活用について金融機関等に要請しました。

当ガイドラインは、法的拘束力はないものの、遵守されることが期待されています。

当事務所では、経営者の方が金融機関の連帯保証人である場合には、会社の事業再生に着手すると同時に、金融機関に対して、当ガイドラインに基づいた保証債務の回収について要請を行っております。

 

■ 住居用の不動産(自宅)について

経営者の方が自宅の住宅ローンを支払中であったり、自宅を会社の運転資金のために根抵当権を設定している、というケースがほとんどです。

今までに、経営者の方が「自宅が抵当にはいってるので、事業再生ができない」「自宅を残したいが、無理なら事業再生をあきらめるほかない」と思い込み、事業再生に踏み切ることが遅れた、というケースが非常に多かったように思います。

通常は、ご親族の方や支援者の方に自宅を適正価格で買っていただき、経営者のご家族がそのまま居住する(賃借する)というリースバックをまず検討します。

また、住宅ローンの支払中であれば、経営者ご自身が個人再生(民事再生)を申し立てて住宅ローンを払い続ける、という方法を検討する場合もあります。

 

■ 自己破産・免責

経営者保証に関するガイドラインが適用できず、経営者の方が金融機関その他の連帯保証債務を負う場合や、経営者ご自身が多額の負債を負っている場合(たとえば、経営者ご自身がカードローンを繰り返して運転資金として会社に貸し付けていたり、ご親族や知人から運転資金を借り入れているケースがよくあります)、やむをえず自己破産を申し立てるときがあります。

悪質な免責不許可事由が無い限り負債から解放されますし、破産による実生活へのデメリットはほとんどありません。

ただし、お持ちの資産は基本的には自由財産(上限は合計99万円)を除いてすべて失うことになりますし、破産が業界内で知れ渡り社会的評価でダメージを受けることのマイナス面は否定できません(ただし事業は残るわけですし、どの程度のマイナスなのかは、周囲からの評価などによりますので、この点は状況により判断していくしかありません)。

 

 

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