私的整理(私的再生)・特定調停

■ 私的整理(私的再生)・特定調停の最大のメリット

事業再生を実行しようとする場合、まず私的整理(私的再生)あるいは特定調停を行うことができないかを検討します。

なぜなら、私的整理(私的再生)は、法的再生(民事再生・会社更生)や法的清算(破産・特別清算)に比べると、メリットが大きいからです。

私的整理(私的再生)の最大のメリットは、対象債権者を限定(通常は金融債権者に限定)できることでしょう。この点は、特定調停による事業再生も同じです。

逆に、法的再生や法的清算では、全債権者を対象にしますので、金融債権者に限定といったことはできません。

私的整理(私的再生)や特定調停では、対象債権者を金融機関に限定できるので、取引先に「事業再生を実行している」といったことを知られずに事業再生を図ることができます。

というよりも、中小企業の事業再生の場合、取引先に「事業再生を実行している」=資金繰りが苦しいということが知られてしまうと、あっという間に「あそこは資金繰りが危ない」という噂が広まり(最近ではSNSで拡散ということもあるでしょう)、事業の継続が困難になってしまいます。

 

■ 注目される特定調停

中小企業の事業再生において、現在、非常に注目されているのは「特定調停」による事業再生です。

特定調停では(私的整理でも同様ですが)、対象債権者を金融機関に限定できるので、取引先に「事業再生を実行している」といったことを知られずに事業再生を図るという大きなメリットがあります。

現在、特定調停は「新スキーム」と呼ばれる、事前調整型(事前にデューデリジェンスを実施し、金融機関と調整を実施しておく)の手続きが注目されています。

事前調整型のスケジュールを確認して頂きますとポイントが分かりやすいと思います。

 

●特徴(利用のメリット)

特定調停の特徴(利用のメリット)として、次のようなものが考えられます。

①非公開であり特定の債権者のみを対象とすることができること

②手続の公平性・透明性
特定調停手続においては、裁判所が関与している手続ですので、その手続は公正であり、また透明性が保たれているといえます。

③多数の債権者との間での迅速な債務の調整が可能なこと
特定調停手続では、多数の関係者の集団的な処理を前提とし、多数の債権者との間で、債務の調整を迅速に行うことができるよう、以下のような規定が設けられています。

 

(a)申立てと同時に「関係者一覧表」提出の義務付け(特調3条3項)

(b)事件の一括処理を容易にするための移送、自庁処理(特調4条・条)

(c)同一申立人からの事件の併合(特調6条)

(d)関係権利者の容易な参加(特調9条)

(e)遠隔地当事者のための書面による調停条項受諾制度(特調16条)

 

④調停委員会が事件の解決のために適当な調停条項を定めることができ、一定の場合にはその条項に拘束力があること

⑤民事再生や会社更生では対応できない場合でも特定調停であれば対応できる場合があること

⑥民事執行手続の停止
中小企業再生支援協議会での手続やその他の私的整理では、債務者からの要請を無視して強制執行手続を強行しようとする債権者の行為を中止させることはできません。

しかし、特定調停であれば、一定の場合にはこれらの手続を停止させることができます(民調規6条、特調7条)。

 

 

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