■ M&Aと事業承継
M&Aは、もともとは会社の合併(Merger)と株の買占め(Acquisition)という意味でしたが、現在では企業の結合・組織の再編の全般に用いられることがあります。
そのため、M&Aは、事業再生の一つの手法としても検討されることがあります。
事業承継は、一般的には、経営が安定している企業が次代に事業を承継するために行う手段です。
ですので、事業承継は、事業再生というよりも、事業の承継をメインに検討することになります。
■ M&Aと事業承継の検討のタイミング
企業のライフステージから考えますと、創業期→勃興期→安定期→下降期(経営不振)という段階を経ることが一般的です。
事業承継は、企業の勃興期→安定期において、次代に経営を承継していくために検討されます(一般的には現在の経営陣の相続を見越した経営の承継の方法)。
M&Aは、企業の勃興期→安定期にも検討されますが(企業価値が高いため、対価も高くなります)、企業が下降期に入り(経営不振に陥り)、その初期から中期の段階で検討されることもあります(事業再生の手法としてのM&A)。
<企業のライフステージ>
■ M&Aと事業承継のご相談
M&Aや事業承継を検討する場合、重要な視点は「企業価値」と「リスク」です。
事業承継は、「企業価値」が右肩上がりまたは安定しているときに検討されますが、企業の外部環境や内部要因による「リスク」(経営不振に陥るリスク)が何であるのか、という検討をしなければ引き継ぐ側の理解が得られない場合があります。
また、M&Aにおいても、「企業価値」がM&Aにおける買収側が支払う対価になりますし、買収側は「リスク」を十分に調査しておく必要があります。
M&Aや事業承継では、どうしても良い面(メリット=対価+事業継続)が注目されますが、やはり「企業価値」と「リスク」を十分に調査しなければ、その後の事業の継続に重大な影響が及んでしまいます。
当事務所では、M&Aや事業承継のご相談においては、とくに「どのようなリスクがあるのか」という点に注意します。
そして、「リスク」を洗い出した上で、判明した「リスク」を契約書や覚書などで封じ込めていく、そのようなアドバイスや契約書等のチェックを行っています。