またまた前回のコラムから少し時間が空いてしまいました。
前回のコラム(実例公開 飲食店のM&A(事業譲渡) ④事業譲渡契約の実行日)の続きです。
実際の名古屋市内での飲食店(1店舗)の事業譲渡の実例をもとに、事業譲渡契約の実行日後の流れに関するポイントを解説します。
まず、飲食店(1店舗)の事業譲渡のケースでは、以下の点が事業譲渡実行日までの遵守事項となります。
①契約日後も今までと変わらず店舗の運営を継続すること、スタッフ・アルバイトの維持、仕入れ等の継続
②譲渡側が株主総会の議決(株式会社の場合)や店長その他関係者の同意(引継ぎ方法の確認など)
③保健所等の行政への届出の準備、仕入れ先や店舗賃貸人・リース契約といった契約の承継の準備
次に、事業譲渡日において、譲渡側(店舗を売る側)と譲受側(店舗を買う側)が譲渡実行を行います。
具体的には以下の事項の確認や受け渡しが行われます。
①「本事業譲渡前の遵守事項」が完了しているかどうか、遵守事項を書面により確認して書面を授受。
②対象店舗のカギ・セキュリティ、賃貸借契約書やリース契約書など、譲受側(店舗を買う側)が店舗運営のために必要となる物品や書類の確認と授受。
③事業譲渡契約書で合意された代金の支払と領収証の授受。
④今後の譲受側(店舗を買う側)の店舗運営の方法・引継ぎの確認。
⑤店舗の在庫、釣り銭等の現状の確認。
事業譲渡日以後、譲渡日の主要5項目(①~⑤)を基に店舗の運営を行うことになります。
そのため、事業譲渡日以後、上記①~⑤の事項が実際の店舗で実行できるかどうかを確認することになります。
ですので、事業譲渡日の上記①~⑤の項目は非常に重要です。
けれども、それだけでは足りません。事業譲渡日以後の業務において、以下の点がポイントになります。
①「店舗運営のキーマン」が譲受側(店舗を買った側)の指示にしたがって業務をするかどうか
②取引先・顧客の個別事情の把握と対応
③譲受側(店舗を買った側)による新しい施策の実施
まず最初の重要ポイントが①「店舗運営のキーマン」です。
飲食店の場合、「店長」や「マネージャー」といった店舗運営のキーマンがいます。
このキーマンが、事業譲渡後、譲受側(店舗を買った側)の指示にしたがって業務をするかどうかが、飲食店の事業譲渡の成否を分けることが多いです。
よくあるケースが、キーマンが「以前(譲渡側=店を売った側)は違った」「労働条件が悪くなった」と言い出して、オペレーションが混乱するといったケースです。
そのため、飲食店の事業譲渡における事前調査においては「キーマン」に関する調査も重要になります。
次に②取引先・顧客の個別事情の把握と対応も重要になります。
取引先や重要な顧客について、取引契約等はあったとしても、やはり飲食店の場合には「特別」ということが多々あります。
そのため、取引契約書には記載されていない事項や取り決めが存在することもあります。
こういった「特別」な取り決めや、事前調査だけでは十分に把握できません。
事業譲渡後、実際に店舗を運営する中で、「特別」な個別事情を把握し、どういった対応を取るのかを決めなくてはなりません。
最後に③譲受側(店舗を買った側)による新しい施策も重要です。
どのような飲食店であっても、改善すべき点はあります。
そこで、店舗を買った側が、新しい施策(労働条件の改善やコスト見直し、広告戦略の見直しなど)を打ち出す必要があります。
こういった新しい施策を打ち出し行かなければ、改善すべき点が放置され、悪い方向へ進むことも考えられます。
むしろ、新しい施策をしなければ飲食店を買った意味がない、とすら思います。
以上が、飲食店(1店舗)の事業譲渡後のポイントになります。
飲食店のM&A(事業譲渡)について、第1回(①交渉スタート)から今回の第5回(事業譲渡後の流れ)までを確認して頂ければ、飲食店(1店舗)の事業譲渡によるM&Aのポイントはご理解頂けると思います。
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