前回から引き続いて、法人破産についてです。
前回のコラムにて、「債務超過が続いて、借金を返済することができず法人の破産を考えた場合には、まず【事業】が継続可能かどうか」を検討した上で、「清算価値保障原則を考慮して、【事業】単体の価値の査定が重要」という点を紹介しました。
今回は、「【事業】が継続可能であり(将来性や収益性が見込まれる)、事業価値を査定したところ事業を譲渡しても清算価値保障原則に反しない」という場合に、実際に【事業】の譲渡を受ける側における検討事項について考えます。
破産を検討している段階ですので、結論は「【事業】の資金繰りが回るかどうか」です。
たとえば、法人が債務超過で破産を検討している場合、【事業】単体では将来性が見込める事業形態であり、しかも事業価値を算定したところ「清算価値保障原則」に反しないとなれば、【事業】を譲渡して(事業譲渡や、あるいは会社分割)事業継続を進めたいと考えるのが通常です。
ただ、手元資金や直近の資金繰り状況からみて、【事業】の資金繰りが回るかどうか、ここがポイントになります。
事業を譲り受ける側から見れば、「【事業】に魅力は感じるが、本当に資金繰りが回るのか」「資金繰りが回らないならば、どれだけの資金投入が必要なのか」という点が重要な検討事項になります。
そこで、譲渡側(破産を検討している側)は、【事業】の資金繰りについて明確に説明する必要があります。
実務的には、「資金繰り表」を用いて説明するとわかりやすいと考えています。
具体的には以下のような「資金繰り表」(民事再生の申立の際に裁判所に提出する資金繰り表)に月次の資金繰りを記載すると、譲渡側の検討も容易ですし、譲受側(譲受を検討している企業・スポンサー)との交渉においても有用と感じています。※以下の資金繰り表には、平成27年といった期間が記入されていますが、具体的にイメージしやすいように記入しているだけであり、当該年・月を記入して作成することになります。
以上のように、法人の破産(企業の破産)を検討している方で、【事業】の譲渡をお考えであれば、早急に「資金繰り表」を作成されて、譲受側に説明できるように準備することをオススメしています。
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