レナウン、破産へ ~ブランド・事業切り売り(事業譲渡)の盲点

11月3日の日経新聞朝刊に「レナウン、破産手続きへ 支援候補は現れず ブランド・事業切り売り」と題する記事が載っていました。

アパレル大手のレナウンが、5月に民事再生にはいったが、スポンサー探しが難航し、結果、11月下旬に破産に移行するとのこと。

レナウンの「ダーバン」などの主力5ブランドは同業他社に売却したと記事に書かれていました。

 

本来であれば、「スポンサーが主力5ブランドを含めてレナウン全体を支援する」というスキームを考えていたとは思いますが、スポンサーが現れなかったようです。

 

さて、レナウンは主力5ブランドを同業他社に売却したようですが、売却の手法は、おそらく「会社分割」か「事業譲渡」であったと考えられます。

 

仮に、同業他社が「ダーバン」といった主力ブランドを事業譲渡によって取得したとします。

具体的には、事業譲渡契約によって、同業他社がブランドの販売店舗や在庫・仕入れ先や従業員も含めて丸ごと譲受することになります。

 

問題は、同業他社がブランド名を継続して使用した場合の責任です。

会社法22条は事業譲渡によって「商号」を譲り受けた場合における、譲受会社の責任について規定しています。

第二十二条 事業を譲り受けた会社(以下この章において「譲受会社」という。)が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う。

2 前項の規定は、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社がその本店の所在地において譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社及び譲渡会社から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。

※下線部は筆者が付しました。第3項以下、省略。

商号、すなわち譲渡会社の「株式会社レナウン」という商号そのものを譲り受けて、譲受会社が「株式会社レナウン」という商号を使用するという場合には、譲受会社は、譲渡会社の債務の責任を負うことになります。

 

では、「ブランド名」を譲受会社が引き続き使用する場合はどうでしょうか?「商号」そのものを使用していないので、会社法22条は適用されないように考えられます。

結論ですが、事業譲渡によって譲受会社が譲渡会社のブレンド名を引き続き使用する場合も、会社法22条が類推適用されると考えられています。

 

ですのでレナウンの場合においても、同業他社が主力ブランドを事業譲渡によって取得し、ブランド名を継続して使用した場合、当該ブランドに関する事業によって生じていた債務の責任を負う可能性があると考えられます。

そこで、同業他社において、会社法22条2項の「譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記」いわゆる免責登記を行うという措置をとっておくべきと考えられます。

 

このように、同業他社とすれば、「ブランド」の価値に対して対価を払って事業譲渡を行うわけですが、ブランド名をそのまま使用すると、過去の債務を負うというリスクが発生します。

会社法22条は、「ブランド」ではなく、「商号」を規定しているわけですから、ぱっと条文を見ただけでは分かりません。

この点は事業譲渡における盲点と言えます。

 

以上のように事業譲渡を進めるにあたっては、様々な論点があります。

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