2月2日の日経新聞朝刊(中部経済)によると、2020年における愛知・岐阜・三重・静岡の四県の休廃業が5475件と過去最高だったとのこと。
経営者の高齢化や後継者不足にコロナ禍が追い打ちをかけた、と報道されていました。
最近は、「破産や民事再生」よりも、「廃業したいですが、どうしたらいいでしょうか」「廃業する会社を買うときの注意点はなにでしょうか」といったご相談が増えている印象です。やはり休業・廃業する会社が増えている、ということかと思います。
ちなみに、廃業とは、破産などの法的な清算ではありません。
ざっくり言いますと「自主的に事業を停止し、残った資産で負債を支払って事業を終了すること」を意味します。
廃業する会社を買うメリット・注意点については「廃業する会社を買う方法 5つのメリットと注意点をまとめました」にて説明しております。
今回は廃業する会社を買うときの注意点にフォーカスして説明していきたいと思います。
一般的には、「あの会社が廃業する予定と言っている」「取引先の会社が半年後に廃業するうようだ」こういった情報は、なかなか出てこないといえます。
そのため、以下のような方法から「廃業する会社を買うことがスタート」するのが通常です。
①会社の経営者が付き合いのある同業者に「廃業することを考えているが、社員もまとめて買ってくれませんか」とお願いする。
②会社の金融機関や税理士といった外部の専門家が、会社が苦しい様子を見て、付き合いのある他社に「廃業する可能性があるが、買いませんか」と話を切り出す。
③M&Aの仲介業者が依頼を受けて、買収にむけて動く。
このようにして廃業する会社を買うことがスタートした場合、どのような点に注意して進めていけばよいのでしょうか。
【廃業する会社を買うときの注意点】
1 簿外債務・偶発債務
「廃業する会社を買ってみたものの、決算書にのっていない債務があった」
「未払いの残業代があったようで、会社を買ったら、労働者から残業代を払えと訴えられた」
こういった、簿外債務・偶発債務は、廃業する会社を買うときの重要な注意点です。
ですので、事業譲渡によって債務を切り離して事業だけを買う、リスクのある経営資源は切り離しておく、というのがベターと言えます。
また、2のヒアリングが重要になります。
2 旧経営陣からのヒアリング
簿外債務や偶発債務などは、会計帳簿や雇用契約書だけでは分からない点があります。
そのため「旧経営陣からの事前のヒアリング」が非常に重要になります。
場合によっては、ヒアリングによって聞き出した事項を株式譲渡契約書や事業譲渡契約書に明記することも必要になるでしょう。
ですので、旧経営陣とヒアリングを十分に行って、廃業する会社の全容を把握する、ここで抜けやモレがあると、買収後に大きな問題が発生することがありますので慎重に進める必要があります。また、実際に面談してヒアリングすることによって、会計帳簿といった書面では分からない、企業文化や社風といった点を理解することができます。
3 取引先との契約終了
廃業する会社を買うときには、「継続するはずの取引先との契約が終了となった」という事態が発生すると買うメリットが失われることになります。
この点は取引先との契約書や引継ぎがどのようにできるか、といった点を調査することで予防することできます。
4 従業員の離反
「確保できるはずの従業員が退職した」「ついてくると思っていた社員が実は会社とトラブルになっていた」という事態に直面すると、かえってデメリットになります。
この点も事前に調査すること、場合によっては個別面談を実施して慎重に調査する必要があります。
5 引継ぎの協力 ~買収後のトラブルの予防
実際に最も多いトラブルが、「廃業する会社を買って業務の引継ぎを行いたいと思ったら、旧経営陣が協力しない」「廃業する会社を買った後、旧経営陣が従業員に対して、勝手な指示を出している」といったものです。
ですので、1~4の調査やヒアリングが終わったら、「業務引継ぎのために、旧経営陣がどのような協力をするのか」「会社を買った後の組織図と業務フロー」といった細かな点をしっかりと書面で取り交わしておくことが重要です。
この点が合意できない場合には、廃業する会社を買うことは見送るべきと考えます(買った後にトラブルになる可能性が高いため)。
以上が、廃業する会社を買うときの注意点のまとめです。
廃業する会社が事業譲渡を検討する場合、あるいは廃業予定の会社を買収する場合には、早めに専門家の相談を受けることをおすすめします。
廃業する会社もいろいろですので、実際には会社の中身を慎重に見ないと、あとになって不測の損失をうけることがあるからです。
当事務所では、廃業を含めた倒産・再生案件は早めの相談が重要と考えておりますので、無料相談(初回の1時間)を実施しております。
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なお、無料相談を含めた倒産・再生のスケジュールについては事業再生のスケジュールをご覧ください。
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