Archive for the ‘破産’ Category
これって「計画倒産?」 法人破産の準備は計画倒産か?
「法人破産の準備を水面下で進めると、計画倒産として違法になりますか?」
最近、法律相談でこの質問を受けることが増えていると感じています。
また、法人破産の申し立てについて、代理人として債権者の方に通知を送ると、
「これは計画倒産でしょ?違法ですよ」
といわれることもよくあります。
「計画倒産」は悪い意味で用いられることがほとんどです。
一般的には、『倒産直前に、債務超過におちいった債務者が重要な資産を隠匿したり、低額で親族・知人に資産を処分して、債務者は行方をくらませる(夜逃げ)』といったケースが念頭に置かれているようです。
しかし、破産法を含めた倒産法制の中に「計画倒産」という法律用語はありません。
ですので、法律上、「計画倒産」についての定義もありません。
もちろん、さきほどの一般的なケースであれば、民事上、詐害行為取消権の対象となったり、破産すれば否認権の対象となる可能性が高いと考えられます。また、刑事上、詐欺罪や破産詐欺罪に該当すれば、当然、刑事罰が科される可能性もあります。
そのため、「計画倒産」というあいまいな言葉(状態)が独り歩きして、「倒産の準備を水面下で進める」=計画倒産=違法という評価がなされていると考えられます。
けれども、倒産(民事再生、法人の破産や通常清算・特別清算)の準備を水面下で進めることは(債権者に説明せずに、内々で準備すること)、違法ではありません。
また、債務超過におちいっても、法人が資産を適正に評価して相当価格で売却すること(代金を運転資金等にあてること)も違法ではありません。
最大の問題は、資金繰りが苦しくなった経営者の方が、「倒産の準備をすると計画倒産となるから、やめておこう」と考えて、専門家への相談が遅れることです。
※法律相談において、「倒産の準備は計画倒産になるから、ダメですよね」とおっしゃる経営者の方が想像以上に多いことに驚かされます。
倒産に関しては一人で悩まず、早めに専門家の法律相談を受けることが最も重要です。相談が遅れた結果、損失が大きくなるケースもあります。
倒産は、早めに弁護士に相談することによって、損失を最小限におさえることができるといえます。
当事務所では、無料相談(初回の1時間)を実施しております。
過去に100件を超える倒産案件に関与した経験から、倒産・再生案件は早めの相談が重要と考えているからです。
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なお、倒産・再生のスケジュールについては事業再生のスケジュールをご覧ください。
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「廃業」のときに最初にチェックすべき事項(失敗しない「会社のたたみ方」)
「廃業を検討しています。」「会社をたたみたいのですが。」
こういったご相談が増えています。
では、「廃業」のときに最初にチェックすべき事項は何でしょうか?
もっと言えば、はやめに何をチェックしておけば、失敗することなく会社をたたむことができるでしょうか?
結論から説明します。
① 「廃業」は法人か、個人事業主か?
② 事業は資産超過か、債務超過か?
③ 「法人」の廃業の場合、株主は「廃業」に賛成か、反対か?
④ 「法人」が債務超過の場合、「事業」の継続は可能か?
⑤ 簿外債務があるか、ないか?
廃業のご相談の際は、まず上記5点をうかがいます。
あたりまえのことばかりですので「そんなことか」と思うかもしれません。
ただ、いざ「廃業」や「会社をたたむ」となると、あれこれ気になってしまい、上記5点が確認できていないということはよくあります。
ですので、まずはこの5点をチェックしておいてほしいと思います。
以下、順にみていきます。
① 「廃業」は法人か、個人事業主か?
② 事業は資産超過か、債務超過か?
まず、個人事業主ですと、会社法が規定する「清算」「解散」という制度はありません。
免許等があれば、監督官庁に廃業届を出すことはありますが、法人における「清算」の手続きはありません。
「債務超過」であれば、債権者との話し合いで(債務整理の話し合い)、話し合いが困難であれば民事再生あるいは破産によって債務を法的に清算することが一般的です。
他方、法人の場合、「資産超過」であれば資産を処分して負債の弁済にあてて「清算」を行います。
具体的には、解散の株主総会を決議し、清算登記を行い、清算手続(資産を処分して負債の弁済に充てる)を進めることになります。
その意味では、それほど問題ないといえます。
問題は「債務超過」の場合です。
まずは債権者との話し合い(話し合い後に「特別清算」を行うことが一般的)、話し合いが困難であれば民事再生あるいは破産によって法的整理をすることは個人事業主とそれほど変わりません。
清算や破産について詳しく知りたい方はこちらもご確認ください→破産・清算業務
③ 「法人」の廃業の場合、株主は「廃業」に賛成か、反対か?
以上のように、法人が「廃業」しようとすると、「資産超過」・「債務超過」のいずれの場合でも、なんらかの「清算」(通常清算・特別清算)あるいは「民事再生」・「破産」といった手続きが必要となります。
すべての株主が廃業に賛成していれば、手続きについて株主総会で議決して進めることが可能です。
問題は、法人の廃業の場合に、多数の株主が廃業に反対しているケースです。
この場合は、廃業が困難になることもありますので、早めに専門家に相談されることをお勧めします。
④ 「法人」が債務超過の場合、「事業」の継続は可能か?
つぎに、「事業」の継続が可能かどうかを検討します。
「法人」が「債務超過」となると、経営者の方は、「廃業となれば事業も停止せざるをえない」「会社をたたむから、事業も停止だ」と考えているケースが多くあります。
けれども、「会社をたたむこと」(法人格の消滅)と「事業の存続」は別問題です。
つまり、会社をたたむ場合でも事業の継続が可能であれば、スポンサーや別会社に事業を移転して(事業譲渡や会社分割)、事業を存続させることは可能です。
ですので、「廃業」や「会社をたたむ」ことを検討される場合には、「事業」が継続できるかどうか(利益率、社員の雇用継続、取引先との取引継続など)も十分に検討する必要があります。
結果、「事業」の継続が可能であれば、スポンサーや別会社(取引先や知人の会社など)への事業の移転を具体的に検討すべきです。
事業の移転により、会社自身は消滅しますが、事業は継続することができます。
⑤ 簿外債務があるか、ないか?
最後に、簿外債務があるかないかを確認します。
簿外債務(訴訟中で敗訴すると発生する債務なども含みます)があると、債務超過かどうか、清算手続きの進め方にも影響します。
ですので、この点の確認も重要です。
以上のように、「廃業」を考えたら、まず上記5点をまずチェックすることが重要です。
そうすることで、会社のたたみ方の具体的な方針が見えてきます。
そのうえで、具体的な手続きについては専門家に相談すべきでしょう。
当事務所における「清算業務を含めた破産・事業再生についての実績」は、「弁護士紹介」をご覧頂きたいです。
当事務所では、「廃業・清算、事業再生案件は早めの相談が重要」と考えておりますので、最初の相談については30分無料としております。
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法人破産において免責はどうなるか?
「法人破産を検討していますが、免責はどうなりますか?」
法人破産のご相談を受けていますと、最近こういった質問を受けることがあります。
結論から言いますと、「法人破産の場合、破産した法人は消滅しますので、免責はないです」となります。
具体的に言いますと
法人破産=破産した法人は消滅
↓
法人が消滅するので、破産後の法人が債務を負うか免責されるか、という問題は無い。
↓
破産した法人には免責制度が用意されていない。
ということになります。
問題は、法人破産の場合、経営者の方(主には代表取締役)が連帯保証されていますと、法人破産にともなって経営者の方も個人破産する場合があります。
経営者の方が個人破産される場合には、免責となるかどうかは重要な問題になります。
経営者の方が連帯保証債務のために自己破産を検討される場合には「法人破産の場合の経営者の注意点」をご覧頂ければと思います。
当事務所における「法人破産を含めた倒産・再生案件についての実績」は、「弁護士紹介」をご覧頂きたいです。
また、法人破産や再生については早めの相談が重要と考えておりますので、当事務所は最初の相談については30分無料としております。
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法人破産を弁護士に依頼する前にチェックするべき5つのポイント
法人破産の相談を行うと、相談者の方(法人の代表者や経営者の方)が
「もっと早く相談したかったのですが…」とおっしゃるケースが多いです。
ただ、法人破産の相談に来られているので資金繰りが苦しいケースが多いため、
「自社の何を検討すればいいのかわからない」という状態になってしまい、結果、専門家への相談が遅くなってしまうのではないかと思います。
当事務所は平成20年に業務開始以来、計100件を超える法人破産・企業倒産(民事再生や私的整理を含みます)に関与してきました。
その経験から、「この点をあらかじめかチェックしておけば早く進んだのに」と思うポイントがあります。
そこで今回は法人破産を弁護士に依頼する前に「まずチェックするべきポイント」を説明します。
5つのポイントを説明しますが、このポイントをチェックしておけば実際にどうすればいいのか、あるいは、どういった資料を準備すればいいのかがすぐにご理解頂けると思います。
ポイント① 資料を準備する。
ポイント② 資金繰りを確認する。
ポイント③ コア事業の将来性を確認する。
ポイント④ 社員の雇用確保の手段を確認する。
ポイント⑤ 経営者の今後の生活設計を確認する。
順に説明します。
ポイント① 資料を準備する。
法人破産(また民事再生や私的整理の場合も含みますが)一般的に以下の資料が必要となると思います。
ですので、まずは以下の資料を確認して準備しておくことをお勧めします(追って他の資料も必要となります)。
■事業内容が分かるもの(会社案内・パンフレット等)
■会社の現在事項証明書(会社の謄本)
■決算書(過去3年分)
■試算表(現在から6か月分)
■債権者に関する資料(金融機関、買掛先、未払い税金・社保含む)
ポイント② 資金繰りを確認する。
法人破産(また民事再生や私的整理の場合も含みますが)の場合、準備や検討のために一定期間が必要となります。
また、法人破産のための費用も必要です(→「法人破産を含めた倒産・再生案件についての費用」にて説明しています。また、法人破産については「法人破産の費用はいくらかかるのか?」というコラムにてくわしく説明しています)。
そのため、現在の資金繰りを確認しておくことが必要となります。
ポイント③ コア事業の将来性を確認する。
法人破産(また民事再生や私的整理の場合も)において、単に法人破産を進めるだけでなく、「将来性のあるコア事業は活かしたい」「今後も利益が見込まれる事業は残して、譲渡したい」というケースが多くなっています。
そのため、事前に「破産後(あるいは民事再生後・私的整理後)、残す事業は何か」を確認しておくことが必要です。
ポイント④ 社員の雇用確保の手段を確認する。
③まで確認が進むと、次は今いる社員をどうするのか、「残す事業で雇用を継続する」「他の企業に移ってもらう」といった具体的な手段を確認しておくことが必要になります。
とりわけ、「将来性のあるコア事業を移転して残す」といった場合、今いる従業員(の一部)が事業に残ってくれるかどうかが重要なポイントになります。
ポイント⑤ 経営者の今後の生活設計を確認する。
最後のポイントは、やはり経営者ご自身の今後の生活設計です。
「住居をどうするか」(不動産ローンが残っているか、運転資金のために抵当権が設定されているか)、「今後の収入のメドは」(転職するか、事業の移転に伴って、移転先で社員として稼働するか)といった点を確認しておく必要があります。
大まかですが、以上の5つのポイントを確認しておくと、法人破産(また民事再生や私的整理の場合、あるいは事業を譲渡する場合)における「漠然とした不安」が相当程度、払しょくできるかと思います。
なお、当事務所における「法人破産を含めた倒産・再生案件についての実績」は、「弁護士紹介」をご覧頂きたいです。
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法人破産をする場合に個人再生はできるか?
法人破産の相談を行うと、相談者の方(法人の代表者や経営者の方)が
「自分の連帯保証があって相談が遅れてしまいました…」とおっしゃるケースが多いです。
その理由は、連帯保証という商習慣にあると思います。
といいますのは、法人の債務(金融機関からの借入やリース債務)について代表者や経営者が連帯保証することが一般的ですが、この商習慣が、「債務超過におちいった法人が、法人破産や民事再生、事業譲渡・会社分割といった手法によって事業再生を図ること」を妨げていると思われるのです。
具体的には、法人の代表者・経営者の方は、連帯保証をしているために、「法人の債務の支払いを継続しないと自分自身の財産(とくにマイホームや老後資金)が取られてしまう」と強く思ってしまい、結果、早期の事業再生の機会を逃し、傷口を広げてしまうケースは多いと感じています。
そして、法人の代表者・経営者の方は「連帯保証債務が民事再生の対象になるとは知らなかった」「連帯保証していても、個人で民事再生できるなら、自己破産ではなく民事再生を選択したい」というケースが多いです。
そこで、法人破産(それに限らず、事業再生全般にも当てはまります)をする場合に、「法人の代表者や経営者の連帯保証について、個人再生(個人の民事再生)できるかどうか」について説明します。
結論から言いますと、法人の代表者・経営者が「住宅ローンを除いて、連帯保証債務・個人債務の合計が5000万円以下であれば、個人再生(小規模個人再生・給与所得者等再生)が可能」となります。
そのほかにも個人の民事再生(小規模個人再生・給与所得者等再生)には様々な要件がありますが、まずは債務額合計5000万円という要件を満たすかどうか、ここを確認して頂きたいと思います。
ですので、法人破産を検討されている法人の代表者・経営者の方(法人の債務を連帯保証)は、連帯保証債務や個人で負担している債務が合計5000万円以下かどうかを早めに確認するべきです。
もしも合計5000万円以下であれば、個人の民事再生を検討すべきでしょう。やはり民事再生は、自己破産よりも、風評被害は比較的小さいといえます。
なお、連帯保証債務や個人債務が合計5000万円以上の場合には、別の方法を検討することになります。。
法人の代表者・経営者の方のそのほかの注意事項は「法人破産をする場合の経営者の注意点」をご覧ください。
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法人破産の弁護士費用の相場とは?(特別清算・民事再生との比較も)
「法人破産の場合の弁護士費用が分かりにくい」
「法人破産か民事再生を検討しているので、弁護士費用の相場を教えてください」
このようなご意見やご質問を受けることがよくあります。
当事務所では、倒産(破産・民事再生など)や事業再生の案件をあつかうことが多いのですが(近年の実績は「弁護士紹介」の実績欄をご覧ください)、ご相談を受ける際に、とりわけ法人破産や民事再生について、「弁護士に対する費用の相場が分かりにくい」という声をよく耳にします。
そこで、法人破産・特別清算・民事再生に関する「弁護士費用の相場」について説明したいと思います。
最近では多くの法律事務所がホームページで弁護士費用について説明しています。
当事務所でもホームページにて「法人破産を含めた倒産・再生案件についての費用」を説明しています。
また、法人破産については「法人破産の費用はいくらかかるのか?」というコラムにてくわしく説明しています。
ただ、法人破産を含めた倒産・再生案件は「負債額」「債権者数」といった定量的な要素だけでなく、「事業再生を進めるための取引先との障害」「事業譲渡を実施したい」といった特殊事情も出てくるので、「弁護士費用」について一定の基準を示すことが難しいといえます。
そのため、相場を示すことは容易ではありません。
おおまかな基準としては、商事法務から出ている「新版ガイドブック弁護士報酬」(弁護士吉原省三・弁護士片岡義広 編著)の288ページの図表「申立代理人弁護士の事件関与の度合いに関する特徴」が参考になります。
この着手金の標準額が「相場」を考える上での一つの資料となると考えています。
この図表は法人破産・特別清算・民事再生に関する弁護士費用(着手金)の標準額が法人の負債総額に応じて記載されていて、とてもわかりやすいです。
※「着手金」としていますが、とくに破産や特別清算の場合には、「報酬」を請求することが困難ですので、着手金に報酬も勘案して算定することが一般的といえます。
たとえば、負債総額8000万円の法人が破産をする場合、弁護士に対する着手金(報酬も含めた弁護士費用)は100万~200万が標準額となります。
ただ、「新版ガイドブック弁護士報酬」の287ページに記載されているように、申立代理人弁護士が関与する度合いや内容に応じて、弁護士費用は変動します。
ですので、最終的には、事前の費用見積もりを基に、委任契約書に弁護士費用を合意することが重要となります。
そのため、当事務所では、「初回の法律相談は1時間無料ですので、そこで弁護士費用を含めた費用面の見積もりについて説明しますよ」とお話ししています。
費用面だけでなく、法人破産を含めた倒産・再生案件に関してご不明な点があれば、お早めに相談を受けられることをお勧めします(法人破産の流れについては、「法人破産の手続きの流れ」をご覧ください)。
なお、当事務所における「法人破産を含めた倒産・再生案件についての実績」は、「弁護士紹介」をご覧頂きたいです。
当事務所では、法人破産を含めた倒産・再生案件は、早めの相談が重要と考えておりますので、最初の相談については30分無料としております。
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法人破産の「流れ」が知りたい方、必見です。 法人破産の申立までの流れ
『法人破産はどのような流れになりますか?』
『法人破産の流れが知りたいです。』
と相談をうけることが最近ふえました。
法人破産は何度も経験することではないですし、流れが分かりにくいので、「このあとどうなるのか」「債権者と直接、話し合うのか」など不安になってしまいます。
そこで、最近の法人破産の申立ての経験を踏まえ、法人破産の「流れ」を解説します(おおまかには「法人破産の手続きの流れ」を見て頂きたいです)。
法人破産は手続きですので、大まかな「流れ」をおさえておくと理解しやすく、次にどうなるのかが予測できます。
法人破産の手続きは大きく分けますと、「破産手続開始決定の前後」で分けられます。
前半・後半のどちらも重要ですが、今回は前半部分にしぼって説明します。
法人破産の前半について、大まかな流れは以下の5つのポイントを押さえておくと分かりやすいです。
①弁護士に相談
↓
②弁護士に法人破産を委任
↓
③弁護士が法人破産の通知書を債権者に発送=破産申立準備を開始
↓ ③の1か月~2か月後
④弁護士が裁判所に破産申立
↓ ④の2週間~3週間後
⑤裁判所が法人について「破産手続開始決定」を下す(破産管財人が決定)
⑤の6か月後~1年後 破産手続の終了
⑤まで来ますと、あとは破産管財人が法人の財産を管理して換価業務等を進めていくことになります。
そのため⑤の後は法人破産の後半部分となります。
以下、①~⑤を詳しく見ていきます。
①弁護士に相談
法人が債務超過となり、債務の返済が困難になった場合、法人の経営者が弁護士に「事業再生ができないでしょうか」あるいは「法人破産を検討しています」といった相談をすることが一般的かと思います。
法人破産(事業再生に関する相談も含めて)について弁護士に相談する際には以下の資料を持参するとスムーズに進むと思います(当事務所では相談前に以下の資料のご持参をお願いしています)。
■事業内容が分かるもの(会社案内・パンフレット等)
■会社の現在事項証明書(会社の謄本)
■決算書(過去3年分)
■試算表(現在から6か月分)
■債権者に関する資料(金融機関、買掛先、未払い税金・社保含む)
なお、相談はあくまでも相談ですので、必ず委任しなければならないということはありません。
当事務所にてご相談だけ承り、その後、ご自身で対応するというケースもあります。
②弁護士に法人破産を委任
弁護士に相談した後、「事業再生を進めるのか(民事再生か、あるいは事業譲渡等による方法か)」、それとも「法人破産をするのか」といった点を検討し、それぞれの場合の費用も検討することになります(一般的には相談の際に費用見積についての相談もできます)。
検討後、「法人破産を進める」と決定した場合、委任する弁護士との間で手続内容や費用面も含めて委任契約書を取り交わして、弁護士に法人破産の委任状を発行します。
なお、法人破産の費用(弁護士費用や裁判所に納める予納金)については「法人破産の費用はいくらかかるのか?」にて詳しく説明していますので、ご参照頂ければと思います。
③弁護士が法人破産の通知書を債権者に発送=破産申立準備を開始
次に、実際に弁護士が全債権者に対して、「法人破産を行います」と明記した通知書(実務上「受任通知」と言われています)を送付します。
これにより、破産に向けて準備が対外的にも開始することになります。
この後は、弁護士が債権者に対応しますので、債務者が直接、債権者の方と話し合うことはありません(とくに、一部の債権者から強く返済を迫られている、一部の債権者が毎日のように電話連絡をしてくる、というケースでは受任通知の発送によって連絡を遮断することが可能になります)。
この点は、弁護士に委任する大きなメリットと言えます。
ひな型を張り付けておきますので、参考までにご覧いただければと思います。
また、受任通知と同時に、あるいは受任通知後すみやかに以下の点も行うことになります。
■事業停止及びそれに伴う解雇
■未回収の売掛金の回収
■賃貸物件(事務所建物、倉庫など)の明け渡し
■リース物件(車両やコピー機など)の引き渡し
■預かり品(商品など)の返却 など
重要なことは、受任通知と同時に事業を停止し、従業員の解雇を行うことです。
解雇後、解雇予告手当や未払い給与の支給、離職手続きを行うことになります。
そのため、「どのタイミングで受任通知を発送するか」という点が非常に重要な決定事項になります。
また、未回収の売掛金が残っている場合には、代理人弁護士が回収を行うこともあります。
売掛金以外にも、早期に処分することが可能な財産(車両や完成品など)は場合によっては処分して現金化します。
とりわけ、「法人破産の費用が手持ち現金では払えない」という場合には、売掛金の回収や財産の早期処分によって、法人破産の費用を確保することがあります。
ただし、否認されることもあるので、この点の判断は慎重に行うことになります。
④弁護士が裁判所に破産申立
③の受任通知発送後、同時にあるいはすみやかに上記の業務を行うことになります。
その後、いわば後片付けを終えると、代理人弁護士は裁判所に対して「破産申立」を行うことになります。
※通常、「受任通知」から1か月~2か月後に裁判所に対する「破産申立」を行います(賃貸物件の明け渡しやリースの引き取りなどに時間を要する場合には破産申立のために一定程度の時間がかかることもあります)。
⑤裁判所が法人について「破産手続開始決定」を下す(破産管財人が決定)
破産申立がなされると、名古屋地方裁判所の場合、通常は2週間~3週間後に「破産手続開始決定」が下されます。
それと同時に、破産管財人や第1回の債権者集会期日も決定されます。
破産手続開始決定が出されますと、その後の法人破産の手続きは破産管財人が主導して進めていくことになります。
以上が、法人破産の手続きの流れの前半部分になります。
後半部分は、破産管財人が主導して進めることになります。
ですので、まずは申立までの前半部分を理解しておくことが重要になります。
ちなみに当事務所における「法人破産を含めた倒産・再生案件についての実績」は、「弁護士紹介」をご覧頂きたいです。
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法人破産をどのような法律事務所に依頼するのがよいのか?
『法人破産を検討していますが、どのような法律事務所に依頼するのがいいと思いますか?』
と聞かれることが最近ふえました。
とくに遠方の知人から、「〇〇県で法律事務所を探しているんですが」というときに聞かれることが多いです。
また初対面の方から、ときおり「先生のご専門は民事ですか、刑事ですか?やっぱり民事ですよね?」と聞かれることがありますが、ひとくちに「民事(事件)」といっても非常に幅広いです。
実際、当事務所は、民事事件のうち、「医療過誤事件」のご相談があっても受任はせずに、専門的な弁護士の方をご紹介するようにしています。
民事・刑事とわずですが、依頼者の方にとっては依頼者の一生を左右する、あるいは会社の命運を左右する重要な案件である場合が多いです。
とりわけ法人破産の案件は、会社経営者や雇用されている方、さらには取引先まで含めて、まさに会社の命運を左右します。
そのため、細かなこともすぐに相談しやすいこと(距離的なことも含めて)、このことも重要と考えています。
ですので、冒頭の質問に対しては、「法人破産の案件について実績があり、かつ、相談しやすい法律事務所に依頼するのがいいです」という回答になります。。
「相談しやすい」という点は、弁護士費用や裁判所への予納金など、法人破産は金額にかかわる点もいろいろと相談する必要がありますので、その意味でも重要と考えます。
最近は、法律事務所もホームページやSNSで情報発信をされている方も増えていますので、事前にホームページ等を見て「事務所案内」や「弁護士紹介」をチェックされると、「法人破産の案件について実績があるか」、また「相談しやすいか」といった点はある程度、把握できるかと思います。
ちなみに当事務所における「法人破産を含めた倒産・再生案件についての実績」は、「弁護士紹介」をご覧頂きたいです。
また、法人破産・清算は、早めの相談が重要(早めに動くと選択肢が広がるため)と考えておりますので、当事務所は最初の相談については30分0円(無料)としております。
無料相談のご予約は0120-710-883にお電話下さい。
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愛知県全域(名古屋市:千種区、東区、北区、西区、中村区、中区、昭和区、瑞穂区、熱田区、中川区、港区、南区、守山区、緑区、名東区、天白区、豊橋市、岡崎市、一宮市、瀬戸市、半田市、春日井市、豊川市、津島市、碧南市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、蒲郡市、犬山市、常滑市、江南市、小牧市、稲沢市、新城市、東海市、大府市、知多市、知立市、尾張旭市、高浜市、岩倉市、豊明市、日進市、他)岐阜県、三重県、静岡県
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法人破産を弁護士に依頼するメリットとは?
最近「法人破産を検討しています」というご相談が増えています。
その中で「法人破産を弁護士に依頼するメリットが無いので、経営陣の個人の破産だけ検討しています」という声を耳にすることがあります。
個人の破産は、最終的に「免責決定」によって返済義務が免除されるのでメリットが分かりやすいといえます。
では、法人破産を弁護士に依頼するメリットはどういった点でしょうか?
この点を説明したいと思います。
破産について名古屋地方裁判所のホームページを見ると「自己破産の申し立てを考えている方へ」という案内を出しています。
しかし、個人の自己破産についての説明だけで「法人破産」については記載されていません。ですので、これだけ見ても、法人破産を弁護士に依頼するメリットはわからないと思います。
法人破産を弁護士に依頼するメリットは結論から言いますと
メリット① 債権者からの催促や対応から解放される。
メリット② 法人の負債を法的に処理することができる。
メリット③ 法人の事業の中で、活かせる部門があれば譲渡等によって再生できる。
以上3点が大きなメリットといえます。それでは順に解説します。
まず、メリット① 債権者からの催促や対応から解放される。
この点が最大のメリットと考えられます。経営陣自ら債権者の督促や対応に時間を取られると、物理的・精神的負担が大きくなります。
弁護士に法人破産を依頼することにより、債権者対応から解放されることで、経営陣が他の重要業務や再就職に注力することができます。
次にメリット② 法人の負債を法的に処理することができる。
どうしても、「残った負債は放置して終わりにする」という考えに至ることが多々あります。
しかし、そうするといつまでも残存する法人の債権者が、経営陣を探しまわる、紛争が収まらずに拡大するという事態が発生してしまいます。
その結果、経営陣の再出発を阻害することにもなりかねません。
返済できなくなった負債は、弁護士に委任し、「法人破産」を行うことにより法的処理することで区切りをつけることができます。
最後にメリット③ 法人の事業の中で、活かせる部門があれば譲渡等によって再生できる。
法人破産の場合であっても、将来性のある「事業」は残されているものです。
しかし、法人破産を弁護士に依頼することなく放置したり、弁護士以外の第三者に負債の処理を依頼すると、将来性のある「事業」をつぶしてしまう危険があります。
負債が返済できなくなった状況でも、弁護士に依頼し、将来性のある「事業」について適切に評価し(場合によっては公認会計士等による評価が必要でしょう)、事業譲渡や会社分割といった方法によって、再生することが可能になります。
事業譲渡や会社分割といった専門的な方法は、やはり専門的な知識・経験のある弁護士に依頼するのがベストだと考えられます。
以上が法人破産を弁護士に依頼するメリットです。
法人破産を弁護士に依頼した後の流れについては、ホームページで紹介していますので(法人破産の手続きの流れ)、参考にしていただければと思います。
当事務所では、法人破産、廃業や清算について専門的に扱っております。
これらの破産、廃業や清算に関する法律相談は初回30分無料にて行っております。まずはお気軽にご連絡ください。
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法人破産の費用はいくらかかるのか?
最近、法人破産のご相談やお問い合わせ非常に増えていますが、その中で
「法人破産の場合、費用はいくらですか?」
というご質問が多いので、このコラムのなかで解説したいと思います。
法人破産の場合に限りませんが、一般的に弁護士に委任する場合、通常は以下の流れとなります。
※法人破産のおおまかな流れはホームページで紹介していますので(法人破産の手続きの流れ)、参考にしていただければと思います。
■相談(法律相談)
↓
■受任(委任契約の取り交わし)
↓
■業務着手
↓
■業務完了
以上の流れに応じて、費用(弁護士費用)が発生します。法人破産の流れに沿って説明しますと、以下の通りです。
■相談(法律相談):相談料
↓
■受任(委任契約の取り交わし)
↓
■業務着手:着手金
↓
■破産申立
↓
■破産手続開始決定(※決定前に「予納金」を裁判所に納付)
↓
■管財人による管財業務の遂行
↓
■債権者集会
↓
■業務完了(破産手続終了):結果に応じた成功報酬
なお、タイムチャージ(業務時間×単価)もありますが、ここでは割愛します。
着手金・報酬に関して、以前は「日本弁護士連合会報酬等基準」があり(※平成16年4月に廃止)、それによりますと法人破産の着手金・報酬は以下の通りと定められていました。
事業者の自己破産の着手金:50万円以上
事業者の自己破産の報酬(成功報酬):経済的利益(配当資産、免責債権額、延払いによる利益、企業継続による利益等を考慮)に応じた額
そのため、現在でも「法人破産の着手金50万円以上」、というのが一般的と考えられます。
法人破産の場合、報酬については破産後に法人が消滅するので、実際上は着手金において考慮して算定するという方式が一般的です。
以上の着手金・報酬は、委任の際の「委任契約」において合意することになります。
また、法人破産の場合、裁判所に納める「予納金」も費用として必要になります。
具体的には、■破産手続開始決定の前に「予納金」を裁判所に納めることになります。
法人破産の予納金は、名古屋地方裁判所の場合、以下の基準に拠り定められています。
※個人の自己破産の予納金と混在して提示されることが多く、混乱されることがありますので、ここでは法人破産の「予納金」だけを取り出して一覧表にて記載します。
以上が、法人破産の場合の費用の全体像となります。
まとめますと、
■最初の相談時に「相談料」が必要(当事務所では初回相談は無料としています)。
■委任した場合には「委任契約」において「着手金」・「報酬」を定める(ですので、具体的には担当される弁護士と協議して合意することになります)。
■裁判所の破産手続開始決定前に「予納金」を納める。
当事務所では、法人破産、廃業や清算について専門的に扱っております。
これらの破産、廃業や清算に関する法律相談は初回30分無料にて行っております。まずはお気軽にご連絡ください。
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