今日(2020年5月31日)の日経新聞朝刊に「中小、休廃業・解散5万件」という見出しの記事が掲載されていました。
2020年の中小企業の休廃業・解散が5万件にのぼる見通しであり、過去最高になる見込みとのこと。また、休廃業が5万件になれば20万人の従業員に影響が出ると予測されているとのこと。
本コラムでは、この記事について深堀したいと思います。
「休廃業」とは、破産や民事再生といった裁判所を通じた清算・再生ではないため、実態の把握が困難です。
ですが、債務超過ではなく、資産超過の状態で、「続けられるけど見通しが悪いから早めに廃業して清算しよう」という判断に基づいて休廃業がなされます。
具体的には、「経営者が高齢化しており後継者がいない」「見通しが厳しくて債務超過に転落する前に清算したい」といった様々な理由があります。
重要な点は、「今は続けようと思えば続けられるけれど、ここで廃業する」と判断する中小企業が5万社にのぼる見込みであり、20万人の従業員に影響が出るということです。
記事には、高齢を理由に廃業を決断した飲食店事業者や「あきらめ時」と判断した経営者の心情が記載されていました。
ですが、廃業を決断した中小企業が、「事業譲渡」といったM&Aを検討しなかったのか、本当に「コア事業」について高い事業価値があったのかどうか、という点は記事では触れられていませんでした。
報道では、どうしても「休廃業5万件」といったインパクトのある数字に焦点が当てられますが、突っ込んで考えると、「休廃業を決断した中小企業のコア事業の価値が高いものかどうか」「継続可能かどうか」という点が重要になります。
休廃業を考える際には、コア事業の価値と継続可能性という点がキモになると考えています。
また、こういった報道を見ると、
「事業継続ができるのであれば、事業譲渡などのM&Aの手法を利用して別会社が事業を継続するということができないものか?」
「M&Aが大企業だけでなく、中小企業にも広がってきているという報道もあるけれど、やはり中小企業のM&Aは手数料が安価になってしまい仲介会社が敬遠してしまうため、広がらないのか?」
と疑問に思ってしまいます。
今後も中小企業のM&Aや事業再生に関して、幅広く本コラムにて紹介していきたいと思います。