Archive for the ‘事業譲渡’ Category
上手な会社のたたみ方 ③債務超過でも会社をたたむ方法
今回は、最近増えている「廃業」についてです。
2019年2月に帝国データバンクが公表した資料によりますと
2018年 愛知県の「休廃業・解散」の企業:1076件
これに対して、倒産した企業:638件
業種別に見ますと、「休廃業・解散」の企業のうち、
建設業:342件(全体の31%)
卸売業:177件
サービス業:172件
ちなみに、代表者の年齢別ですと70代が343件と最多です(全体の36%)。
廃業の相談にくる会社経営者の方は、
「後継者がいないので廃業したいのですが、破産は避けたかったので、決断までに時間がかかってしまいました」
とおっしゃる方が多いです。しかし、債務超過の会社の廃業=破産ではありません。
「破産を避けよう」と思うあまりに、早い時期に専門家への相談のタイミングを逃してしまうと、かえって問題が大きくなりかねません。
「破産を避ける」主要な理由は、大きく分けると二つです。
①取引先や従業員に迷惑をかけたくない
②経営者が連帯保証をしているため、会社の破産=経営者の破産となるため
②については既にコラムでも説明していますので、今回は①を中心に説明します。
①についてのポイントは、「企業のコアとなるA事業が継続可能かどうか」=収益性や将来性があるか、という点です。
仮に、企業のコアとなるA事業に収益性や将来性が見込まれるのであれば、事業価値を適正に算定した上で(公認会計士に依頼して算定することが一般的です)、取引先や従業員を含めて事業を譲渡する(支援先や第二会社等への譲渡)ことによって、取引先や従業員への迷惑は最低限に抑えることが可能です。
具体的な方法としては、企業から取引先・従業員を第二会社・スポンサー企業に「収益性・将来性のあるA事業」を適正な譲渡対価にて譲渡(事業譲渡・会社分割が一般的です)する方法です。
その後、企業には主に金融負債が残りますが、金融機関と協議した上で、破産ではなく特別清算によって処理することも可能です。
以上のように、債務超過している会社の廃業=破産ではありません。
当事務所では、企業(法人・個人事業主)の廃業や清算・特別清算、破産や事業譲渡を専門的に扱っております。
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事業譲渡+特別清算による再生スキーム ④リスケ後の中小企業再生支援協議会スキーム
前回からの続きです。「リスケ後の出口戦略」は、相談や質問が多いテーマの1つです。
さて、リスケ後の中小企業再生支援協議会(支援協)スキームについて具体的な流れやポイントを説明していきます。
<案件の概要>
A株式会社 東海地方の製造業(50年以上の社歴)
社員数:30名未満 売上高:5億未満
後継者不在
業績の落ち込みより数年前からメインバンク主導(支援協の協力)によるリスケを継続中。
<流れ・スケジュール>
1月:最初の相談
A社とコンサルタント同席
2月:第1回バンクミーティング
弁護士側から第二会社方式(スポンサーへの事業譲渡型)による事業再生の概略を説明
3月:メインバンク+保証協会との事前打ち合わせ
→「支援協によるスキームであれば検討する」との方針を確認
4月:2回目のバンクミーティング
支援協によるスキーム(いわゆる検証型)に基づいて、スポンサーへの事業譲渡+金融機関に一時弁済+A社の特別清算を進めることを説明
支援協の再生計画案の原案を説明+公認会計士によるデューデリジェンスの実施
6月:3回目のバンクミーティング
支援協の再生計画案の修正案を説明+公認会計士によるデューデリジェンス結果の報告+支援協による検証結果の報告
→金融機関から支援強に対して再生計画案の「同意」
7月:事業譲渡 クロージング
8月:金融機関に対する一時弁済の実施(原資:事業譲渡対価)
9月:A社 解散→特別清算の申立
以上の通り、金融機関による結論が出るまでに半年、事業譲渡のクロージングまでに7ヶ月を要しています。
ですが、金融機関側の稟議の準備やスポンサーとの協議といった事項がありますので、非常に早い進行かと思います。
次回以降のコラムにおいて、各項目におけるポイントをご説明していきます。
当事務所では、事業譲渡や特別清算による事業再生(破産や民事再生ではない、再生方法)についても専門的に扱っております。
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事業譲渡+特別清算による再生スキーム ③リスケの出口戦略と中小企業再生支援協議会スキーム
前回のコラムの続きです。
最近、相談が増えているのが「リスケが先行している中小企業における出口戦略は何がベターか?」という点です。
具体的にリスケの流れを説明しますと、
①中小企業が苦況になる。専門家やメインバンク担当者に相談。
↓
②メインバンクに支援申請→各金融機関へのリスケ(利払いのみ)要請に移行。
↓
③バンクミーティングにて「リスケ内容」「事業計画(リストラ計画含む)」等の承認。
大まかに言いますと、以上の流れでリスケ実行に至ると考えられます。
スケジュール感としては、①~②~③で2~3ヶ月かと思います(大まかですが)。
その後、無事に事業の立て直しが実行・完了すれば、リスケは終了して、通常の支払(元金+利息)に戻るという流れになります。
しかし、企業側が事業の立て直しを図っても事業計画通りに再建が進まない場合があります(その理由は様々です)。
そうなってくると、バンクミーティングにて再度のリスケの承認となりますが、「では今後どうする?(出口戦略はあるのか?)」が問題になります。
あるいは、事業計画の進捗が思わしくない、という状況になれば同じようにリスケ後の出口戦略が問題なります。
具体的には
A:スポンサーを選定して、M&A(合併や株式譲渡)によって会社を譲渡する。
B:企業を黒字部門と赤字部門に分けて、黒字部門を事業譲渡または会社分割によってスポンサーや別会社に移転する。
以上の戦略を検討することが多いと思います。
Aは、「リスケ中の会社を買ってくれるスポンサーを選定できるか?」というのがハードルになります。
Bは、黒字部門であれば値段次第で買うというスポンサー(あるいは関係企業)はいるとしても、「企業に残る負債(とくに金融負債)をどのように処理するのか?」という点が課題になります。
前回のブログにて紹介しましたが、「企業に残る負債(とくに金融負債)をどのように処理するのか?」という課題に対しては中小企業再生支援協議会スキームが有効であるケースが多いと考えています(中小企業再生支援協議会)。
具体的に言いますと、中小企業再生支援協議会スキームによって「黒字部門をスポンサー・別会社に事業譲渡・会社分割」+「赤字部門を残した企業を特別清算」という手法を金融機関全員の同意のもとで進めるというものです。
中小企業再生支援協議会スキームの優位性は大まかに言いますと2点です。
■地域の中小企業においては、地域の金融機関(保証協会を含む)が多く関与しており、中小企業再生支援協議会の考え方やスキームに対する信頼性が高いケースが多いです。
■リスケ後の出口戦略においては企業の経営陣の連帯保証が問題になりますが、その場合には「経営者保証のガイドライン」にしたがって整理することになります。経営者保証のガイドラインを用いた経営者の保証債務の整理も、中小企業再生支援協議会スキームによって同時並行して実行することができるので、結果として、スキームの進行がよりスピーディかつ円滑に進むことが多いです。
以上の理由により、中小企業再生支援協議会スキームが有効であるケースが多いと考えています。
というわけで、次回以降のコラムにおいて中小企業再生支援協議会スキームの実例を基に具体的な流れやポイントをご説明していきます。
当事務所では、事業譲渡や特別清算による事業再生(破産や民事再生ではない、再生方法)についても専門的に扱っております。
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事業譲渡+特別清算による再生スキーム ②リスケの出口戦略と特定調停
前回のコラムの続きです。
リスケが先行している中小企業における出口戦略と特定調停スキームのメリットを考えます。
<対象企業>
A株式会社 製造業(50年以上の社歴)
社 員 数 30名未満
売 上 高 5億未満
借 入 金 長期:3億以上(複数の金融機関:保証協会による保証付き)
短期:1億以上(複数の金融機関:ノンバンク含む)
A社は後継者が不在であり、業績の落ち込みより、数年前からメインバンク主導(中小企業再生支援協議会の協力)による「リスケ」を継続中。
同業他社のB社(古い付き合いのある有力企業)がA社の支援に名乗りを挙げたものの、A社の資金繰りが厳しくなり、破産するか否かという状況に。
A社は、バンクミーティングにおいて、「B社によるM&A(事業譲渡)」を提案しました。
問題は、A社の金融機関からの借入金債務の処理です。
A社は「私的整理」による処理を提案し、具体的には以下の2つのスキームを検討しました。
①「特定調停により金融債権だけをカットするスキーム」
②「中小企業再生支援協議会における再生計画案により金融債権だけをカットするスキーム」
私的整理のメリットは、対象とする債権者を選定し、取引債務(取引先)を除外することができる点です。
①特定調停スキームも②中小企業再生支援協議会スキームも、取引先を除外することができるというメリットは共通です。
しかし、①特定調停の場合には、特定調停法17条により、裁判所が決定を出すことができると定められています(いわゆる17条決定)。
17条決定が出されると、債権者から異議がなければ、2週間で決定が確定します。そのため、一部の強硬な債権者がいる場合に有効、と説明されることがあります。
これは、②中小企業再生支援協議会スキームには無い制度です。
A社も、取引先を除外し、借入金に関する金融機関だけを対象債権として選定しました。
ただ、借入金の中で、短期借入金としてノンバンクから借り入れている債務がありました。
そこで、A社は、「ノンバンクも対象として、①特定調停スキームを実行し、ノンバンクが反対すれば17条決定を求めたい」と提案しました。
しかし、この提案には金融機関側が反対しました。その理由は、「17条決定に異議が出される可能性があるので、それであれば①特定調停スキームでの処理には応じられない」というものでした。
やはり、私的整理では対象債権者の全員の同意が原則ですので、ノンバンクを対象とすれば、そこも含めて全員の同意が得られることが必要になります。
そうしますと①特定調停スキームにおける17条決定という制度は大きなメリットではない、ということになります。
むしろ、通常、苦況の中小企業の場合ではリスケが先行してバンクミーティングが実施されていますので、従前のバンクミーティングの内容を前提として、②中小企業再生支援協議会スキームを実行する方がスムーズに移行できるのではないかと思われます。
実際、A社は、従前のバンクミーティング(中小企業再生支援協議会が協力)を前提として、②中小企業再生支援協議会スキームを検討するという手法をとりました(ノンバンクは、対象債権者には入れずに、一般の取引先と同じ扱いにしました)。
ですので、リスケが先行している中小企業における出口戦略としては②中小企業再生支援協議会スキームが有効である場合が多いように感じています。
次回以降のコラムにおいて②中小企業再生支援協議会スキームの流れやポイントをご説明していきます。
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事業譲渡+特別清算による再生スキーム ①特定調停か、支援協スキームか?
前回のコラムから時間があいてしまいました。
さて、以前として「後継者不在」を原因とする廃業・清算や、事業譲渡といった案件のご相談は非常に多い状況です。
そこで、当事務所が関与した案件の中で「事業譲渡+特別清算」による再生スキームについて取り上げたいと思います。
<案件の概要>
A株式会社 東海地方の製造業(50年以上の社歴)
社員数は30名未満
売上高 5億未満
A社は後継者が不在であり、業績の落ち込みより、数年前からメインバンク主導(中小企業再生支援協議会の協力)による「リスケ」を継続中。
同業他社のB社(古い付き合いのある有力企業)がA社の支援に名乗りを挙げたものの、A社の資金繰りが厳しくなり、破産するか否かという状況に。
このような状況において、A社は、「なんとか話合いで解決したい」「民事再生や破産となると、B社の支援があっても、取引先が離れて事業継続できない」という思いがあり、「私的整理」による事業再生を検討しました。
具体的には以下の2つのスキームを検討しました。
「特定調停により金融債権だけをカットするスキーム」
「中小企業再生支援協議会における再生計画案により金融債権だけをカットするスキーム」
事業再生の専門書を見ると、
「中小企業再生支援協議会の手続きは時間がかかるので、資金繰りがひっ迫しているときは、特定調停のスキームがベター」
といった記述を見かけます。
しかし、必ずしもそうはいえないと思います。
当事務所は、A株式会社について、中小企業再生支援協議会の手続きにより再生計画を策定し、スポンサー企業による事業譲渡+特別清算による金融債権のカットというスキームを実行しました。
次回以降のコラムにおいて、具体的な流れやポイントをご説明していきます。
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実例公開 飲食店のM&A(事業譲渡) ⑤事業譲渡の実行日後の流れ
またまた前回のコラムから少し時間が空いてしまいました。
前回のコラム(実例公開 飲食店のM&A(事業譲渡) ④事業譲渡契約の実行日)の続きです。
実際の名古屋市内での飲食店(1店舗)の事業譲渡の実例をもとに、事業譲渡契約の実行日後の流れに関するポイントを解説します。
まず、飲食店(1店舗)の事業譲渡のケースでは、以下の点が事業譲渡実行日までの遵守事項となります。
①契約日後も今までと変わらず店舗の運営を継続すること、スタッフ・アルバイトの維持、仕入れ等の継続
②譲渡側が株主総会の議決(株式会社の場合)や店長その他関係者の同意(引継ぎ方法の確認など)
③保健所等の行政への届出の準備、仕入れ先や店舗賃貸人・リース契約といった契約の承継の準備
次に、事業譲渡日において、譲渡側(店舗を売る側)と譲受側(店舗を買う側)が譲渡実行を行います。
具体的には以下の事項の確認や受け渡しが行われます。
①「本事業譲渡前の遵守事項」が完了しているかどうか、遵守事項を書面により確認して書面を授受。
②対象店舗のカギ・セキュリティ、賃貸借契約書やリース契約書など、譲受側(店舗を買う側)が店舗運営のために必要となる物品や書類の確認と授受。
③事業譲渡契約書で合意された代金の支払と領収証の授受。
④今後の譲受側(店舗を買う側)の店舗運営の方法・引継ぎの確認。
⑤店舗の在庫、釣り銭等の現状の確認。
事業譲渡日以後、譲渡日の主要5項目(①~⑤)を基に店舗の運営を行うことになります。
そのため、事業譲渡日以後、上記①~⑤の事項が実際の店舗で実行できるかどうかを確認することになります。
ですので、事業譲渡日の上記①~⑤の項目は非常に重要です。
けれども、それだけでは足りません。事業譲渡日以後の業務において、以下の点がポイントになります。
①「店舗運営のキーマン」が譲受側(店舗を買った側)の指示にしたがって業務をするかどうか
②取引先・顧客の個別事情の把握と対応
③譲受側(店舗を買った側)による新しい施策の実施
まず最初の重要ポイントが①「店舗運営のキーマン」です。
飲食店の場合、「店長」や「マネージャー」といった店舗運営のキーマンがいます。
このキーマンが、事業譲渡後、譲受側(店舗を買った側)の指示にしたがって業務をするかどうかが、飲食店の事業譲渡の成否を分けることが多いです。
よくあるケースが、キーマンが「以前(譲渡側=店を売った側)は違った」「労働条件が悪くなった」と言い出して、オペレーションが混乱するといったケースです。
そのため、飲食店の事業譲渡における事前調査においては「キーマン」に関する調査も重要になります。
次に②取引先・顧客の個別事情の把握と対応も重要になります。
取引先や重要な顧客について、取引契約等はあったとしても、やはり飲食店の場合には「特別」ということが多々あります。
そのため、取引契約書には記載されていない事項や取り決めが存在することもあります。
こういった「特別」な取り決めや、事前調査だけでは十分に把握できません。
事業譲渡後、実際に店舗を運営する中で、「特別」な個別事情を把握し、どういった対応を取るのかを決めなくてはなりません。
最後に③譲受側(店舗を買った側)による新しい施策も重要です。
どのような飲食店であっても、改善すべき点はあります。
そこで、店舗を買った側が、新しい施策(労働条件の改善やコスト見直し、広告戦略の見直しなど)を打ち出す必要があります。
こういった新しい施策を打ち出し行かなければ、改善すべき点が放置され、悪い方向へ進むことも考えられます。
むしろ、新しい施策をしなければ飲食店を買った意味がない、とすら思います。
以上が、飲食店(1店舗)の事業譲渡後のポイントになります。
飲食店のM&A(事業譲渡)について、第1回(①交渉スタート)から今回の第5回(事業譲渡後の流れ)までを確認して頂ければ、飲食店(1店舗)の事業譲渡によるM&Aのポイントはご理解頂けると思います。
当事務所では、飲食店のM&A・事業譲渡だけでなく一般の企業のM&A(株式譲渡や事業譲渡、合併など)を専門的に扱っております。
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実例公開 飲食店のM&A(事業譲渡) ④事業譲渡契約の実行日(決済日)
前回のコラムから少し時間が空いてしまいましたが、前回のコラム(実例公開 飲食店のM&A(事業譲渡) ③事業譲渡契約の調印)の続きです。
実際の名古屋市内での飲食店(1店舗)の事業譲渡の実例をもとに、事業譲渡契約の実行日(決済日)に関するポイントを解説します。
以前のコラムでお伝えした通り、飲食店の事業譲渡では事前の調査が重要です。
事前の調査において、
「事業譲渡を実行する日までに解決しておくべき事項」
「事業譲渡を実行する日まで維持しておくべき事項」
を明確にしておくことになります。
その上で、事業譲渡契約書において「本事業譲渡前の遵守事項」といった条項において
事業の維持、雇用の維持、取引先の維持
株主総会の議決や関係者の同意といった内部的な手続きの実行
役所への届出や取引先・賃貸人との契約書の引継ぎといった外部との手続きの実行
といった諸点を明記しておくことになります。
飲食店(1店舗)の事業譲渡のケースでは、以下の点が事業譲渡実行日までの遵守事項となります。
契約日後も今までと変わらず店舗の運営を継続すること、スタッフ・アルバイトの維持、仕入れ等の継続
譲渡側が株主総会の議決(株式会社の場合)や店長その他関係者の同意(引継ぎ方法の確認など)
保健所等の行政への届出の準備、仕入れ先や店舗賃貸人・リース契約といった契約の承継の準備
以上の準備・実行を行った上で、事業譲渡日を迎えます。
事業譲渡日は、譲渡側(店舗を売る側)と譲受側(店舗を買う側)それぞれ、さらに仲介役をつとめたFAその他関係者が集まって、銀行の応接室や対象店舗において、譲渡実行を行います。具体的には以下の点です。
①「本事業譲渡前の遵守事項」が完了しているかどうか、遵守事項を書面により確認して書面を授受。
②対象店舗のカギ・セキュリティ、賃貸借契約書やリース契約書など、譲受側(店舗を買う側)が店舗運営のために必要となる物品や書類の確認と授受。
③事業譲渡契約書で合意された代金の支払と領収証の授受。
④今後の譲受側(店舗を買う側)の店舗運営の方法・引継ぎの確認。
⑤店舗の在庫、釣り銭等の現状の確認。
以上の諸点を確認・授受を行い、譲渡日から譲受側(店舗を買う側)が店舗を引き継いで、店舗運営を行うことになります。
事業譲渡日以後、どのような点について注意すべきかについては、あらためてコラムにて解説したいと思います。
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上記以外でも一度ご相談ください。
実例公開 飲食店のM&A(事業譲渡) ③事業譲渡契約の調印
前回のコラム(実例公開 飲食店のM&A(事業譲渡) ②調査の実施)の続きです。
実際の名古屋市内での飲食店(1店舗)の事業譲渡の実例をもとに、ポイントを解説します。
前回のコラムでお伝えした通り、飲食店の事業譲渡では事前の調査が重要です。
法的事項に関する主要な調査項目は以下の通りです。
<調査事項>
①店長その他スタッフの体制・雇用継続の可否
②①について、未払い残業代やパワハラ等の問題の有無
③店舗の賃貸借の契約書・賃料の支払い状況の確認
④店舗の機械(レジやサーバーなど)のリース契約書・リース料の支払い状況・残リース料の確認
⑤調理用機械・備品等の稼働状況と補修の必要性の確認
⑥材料等の仕入れ先の買掛金(未払金)の確認・今後の仕入れ確保の確認
⑦材料や飲料の在庫確認
⑧「店名」や「ロゴ」など、知的財産に関連する事項の確認
⑨「ホームページ」やチラシなど、広告に関する事項の確認
⑩その他、訴訟やクレーム対応といったトラブルを抱えていないかの確認
以上の各項目の調査を行い、リスクを洗い出し、実際の事業譲渡契約に落とし込むことになります。
店舗についての「事業譲渡契約」のサンプルを見て頂くとイメージしやすいかと思います。
サンプルには一般的な条項が記載されており、当事務所はこのサンプルに加筆修正を加えながら、事業譲渡の契約書を作成しております。
個々のケースで特殊事情はそれぞれ異なりますので、それぞれの特殊事項に関する取り決めは第17条の特約事項にて合意することになります。
双方が事業譲渡契約書の案を確認し、納得したら調印を行います。
そして、調印後、実際の譲渡日(事業譲渡の実行日)を迎えることになります。
譲渡日以後については、あらためてコラムにて解説したいと思います。
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実例公開 飲食店のM&A(事業譲渡) ②調査の実施
前回のコラム(実例公開 飲食店のM&A(事業譲渡) ①交渉のスタート)の続きです。
実際の名古屋市内での飲食店(1店舗)の事業譲渡の実例をもとに、ポイントを解説します。
①交渉スタートで紹介したように、飲食店の事業譲渡は、1店舗(不採算店の場合が多いです)の譲渡というケースが多く、売り手と買い手(候補者)が顔見知りであり、スピーディな交渉が優先されます。
そのため、「よりスピーディに」「交渉の入り口は簡潔に」といった要請が強く、お互いにすぐに理解できる、簡潔な合意書からスタートする、ということがよくあります。事業譲渡に関する合意書(簡潔バージョン)
では、交渉が開始された後、実際に事業譲渡の契約が締結されるまでの間、どのような作業があるでしょうか。
最も重要な作業は、店舗に関する調査です。
<調査事項>
①店長その他スタッフの体制・雇用継続の可否
②①について、未払い残業代やパワハラ等の問題の有無
③店舗の賃貸借の契約書・賃料の支払い状況の確認
④店舗の機械(レジやサーバーなど)のリース契約書・リース料の支払い状況・残リース料の確認
⑤調理用機械・備品等の稼働状況と補修の必要性の確認
⑥材料等の仕入れ先の買掛金(未払金)の確認・今後の仕入れ確保の確認
⑦材料や飲料の在庫確認
⑧「店名」や「ロゴ」など、知的財産に関連する事項の確認
⑨「ホームページ」やチラシなど、広告に関する事項の確認
⑩その他、訴訟やクレーム対応といったトラブルを抱えていないかの確認
大まかに言えば、以上の10項目について買い手側は売り手側に対して、代表者や店長などからヒアリングや店舗での調査を行います。
出てきた問題点を確認して、「解決できる問題なのか?」「解決できない場合にはどのようなリスクがあるのか?」を洗い出します。
以上は法的な調査事項です。
そのほかにも、顧客の年齢層や商圏、広告戦略などの営業面や接客マニュアルや調理や提供といった運営面(オペレーション)も重要です。
ですが、法的事項の調査も非常に重要です。当事務所では上記10項目について調査を実施し、調査報告書(レポート)を提出することもよくあります。
当事務所では、飲食店のM&A・事業譲渡だけでなく一般の企業のM&A(株式譲渡や事業譲渡、合併など)を専門的に扱っております。
これらのM&A・事業譲渡に関する法律相談は初回30分無料にて行っております。
まずはお気軽にご連絡ください。
無料相談のご予約は0120-710-883にお電話下さい。
主な対応エリア
愛知県全域(名古屋市:千種区、東区、北区、西区、中村区、中区、昭和区、瑞穂区、熱田区、中川区、港区、南区、守山区、緑区、名東区、天白区、豊橋市、岡崎市、一宮市、瀬戸市、半田市、春日井市、豊川市、津島市、碧南市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、蒲郡市、犬山市、常滑市、江南市、小牧市、稲沢市、新城市、東海市、大府市、知多市、知立市、尾張旭市、高浜市、岩倉市、豊明市、日進市、他)岐阜県、三重県
上記以外でも一度ご相談ください。
実例公開 飲食店のM&A(事業譲渡) ①交渉スタート
飲食店を出店または閉店する際の選択肢として、M&A・事業譲渡という手法が注目されるようになりました。
飲食店のM&Aに関する専門サイトなども増えており、他の業種よりも、飲食店(外食産業)はM&Aや事業譲渡が多いという印象です。
実際に当事務所でも、飲食店の事業譲渡の相談や支援をすることがあります。
とりわけ名古屋市内は飲食店の数や事業者も多いため、多くの相談を受けてきました。
実例をもとに、注意点などをご紹介したいと思います。
飲食店のM&Aで売り手側のメリット、買い手側のメリットはそれぞれあります。
売り手側のメリット
①売却による収益
②事業の切り離しによる主力業務への集中
③雇用の維持
買い手側のメリット
①スピーディな新店の立ち上げ
②既存の店舗・設備や従業員を丸ごと活用
③シナジー効果による収益力の強化
飲食店のM&Aで非常に多いケースが、売り手側が1店舗(多くは不採算店舗)を切り離す(通常は事業譲渡)というケースです。
そして、売り手側が、業界内の知り合いから買い手側を探すことが多いことも、飲食店のM&Aの特徴です。
そのため、売り手側と買い手側候補者とは
「よりスピーディに」
「交渉の入り口は簡潔に」
「売り手側は別の買い手を探さない」
「買い手側は、M&Aが不成立となっても、交渉のために要した費用を請求しない」
といった要請が働きます。
そのため、当事務所では、売り手側が買い手候補者を探してきて、事業譲渡の交渉を始めるにあたって、簡単な合意書に調印することをお勧めしています。
本来、M&Aや事業譲渡の交渉を開始する場合、秘密保持契約を締結し、簡単な概要書を交付し、といった手順を踏むことが通常です。
しかし、飲食店1店舗の事業譲渡のケースでは、「よりスピーディに」「交渉の入り口は簡潔に」といった要請が働くため、お互いにすぐに理解できる、簡潔な合意書からスタートする、ということがよくあります。
もちろん、ケースによっては守秘義務に関する合意書を取り交わしたり、スタートするまでに双方が事前調査を行う場合もあります。
当事務所では、飲食店のM&A・事業譲渡だけでなく一般の企業のM&A(株式譲渡や事業譲渡、合併など)を専門的に扱っております。
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