Archive for the ‘破産’ Category
飲食店の倒産 日経新聞の記事より(2020/9/29)
昨日の日経新聞朝刊に「外食の倒産 最多」という記事が掲載されていました。
外食の倒産 業界の対応は?(日経新聞の電子版より)
記事によると、「新型コロナウイルスの影響で外食店舗の客入りは激減。コロナ関連の倒産は80件で外食が最多(他の業種との比較)」とのこと。
当事務所でも飲食店の倒産に関するご相談は増えています。
おそらく、今後もこの傾向は続くだろうと思います。
そのため、以前に「飲食店の営業譲渡 手順のまとめ」というコラムを掲載しました。
飲食店の営業譲渡 手順のまとめ②営業譲渡の実行(負債の切り離し)
以上のコラムを見て頂ければ、飲食店を営業譲渡するための準備や流れはご理解頂けると思います。
営業譲渡を検討する際には、参考にして頂ければと思います。
当事務所では、法人破産を含めた倒産・再生案件は早めの相談が重要と考えておりますので、無料相談(初回の1時間)を実施しております。
無料相談のご予約は0120-710-883にお電話いただくか、お問い合わせフォームにてご連絡ください。
なお、無料相談を含めた倒産・再生のスケジュールについては事業再生のスケジュールをご覧ください。
主な対応エリア
愛知県全域(名古屋市:千種区、東区、北区、西区、中村区、中区、昭和区、瑞穂区、熱田区、中川区、港区、南区、守山区、緑区、名東区、天白区、豊橋市、岡崎市、一宮市、瀬戸市、半田市、春日井市、豊川市、津島市、碧南市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、蒲郡市、犬山市、常滑市、江南市、小牧市、稲沢市、新城市、東海市、大府市、知多市、知立市、尾張旭市、高浜市、岩倉市、豊明市、日進市、他)岐阜県、三重県、静岡県
上記以外でも一度ご相談ください。
愛知県・名古屋にて法人破産をする費用はいくらかかるのか?
「法人の代表者ですが、法人破産をする場合、費用はいくらかかりますか?」
こういったご相談が増えています。
当事務所では、名古屋市内の法人や、最近では愛知県・近隣(岐阜・三重・静岡)の企業の破産を行うことが多いのですが、「法人破産の費用がいくらかかるのか」についてご説明する機会が増えています。
破産という緊急事態であり、何度も経験することではないので、「費用がいくらなのか?」は大きな不安になることがあります。
そこで、愛知県・名古屋において法人破産する場合の費用についてご説明します。
結論を先に言いますと、費用の全体像は以下の通り。
■最初の相談時に「相談料」が必要。
■委任した場合には「委任契約」において「着手金」・「報酬」を定める(一般的には着手金に含める)。
■裁判所の破産手続開始決定前に「予納金」を納める。
■破産の流れと費用
法人破産の流れに沿って説明しますと、破産の費用は以下の通りです。
■相談(法律相談):相談料
↓
■受任(委任契約の取り交わし)
↓
■業務着手:着手金
↓
■破産申立
↓
■破産手続開始決定(※決定前に「予納金」を裁判所に納付)
↓
■管財人による管財業務の遂行
↓
■債権者集会
↓
■業務完了(破産手続終了):結果に応じた成功報酬
なお、タイムチャージ(業務時間×単価)もありますが、ここでは割愛します。
■弁護士に対する着手金と報酬
着手金・報酬に関して、以前は「日本弁護士連合会報酬等基準」があり(※平成16年4月に廃止)、それによりますと法人破産の着手金・報酬は以下の通りと定められていました。
事業者の自己破産の着手金:50万円以上
事業者の自己破産の報 酬(成功報酬):経済的利益(配当資産、免責債権額、延払いによる利益、企業継続による利益等を考慮)に応じた額
そのため、現在でも「法人破産の着手金50万円以上」、というのが一般的と考えられます。
法人破産の場合、報酬については破産後に法人が消滅するので、実際上は着手金において考慮して算定するという方式が一般的です。
では、具体的に、「報酬」もふくめて「受任時に支払う着手金」はいくらなのか?ここが重要になります。
おおまかな基準としては、商事法務から出ている「新版ガイドブック弁護士報酬」(弁護士吉原省三・弁護士片岡義広 編著)の288ページの図表「申立代理人弁護士の事件関与の度合いに関する特徴」が参考になります。
上記の着手金の標準額が破産の弁護士費用の「相場」を考える上での一つの資料となると考えています。
※債権者数や財産・解雇する労働者の人数、譲渡する資産の規模など、さまざまな要素がありますので一概には言えませんが、大まかな基準は以上の通りです。
■裁判所に対する予納金
法人破産の場合、裁判所に納める「予納金」も費用として必要になります。
具体的には、■破産手続開始決定の前に「予納金」を裁判所に納めることになります。
法人破産の予納金は、名古屋地方裁判所の場合、以下の基準に拠り定められています。
以上が、法人破産の場合の費用の全体像となります。
まとめますと、
■最初の相談時に「相談料」が必要(当事務所では初回相談は無料としています)。
■委任した場合には「委任契約」において「着手金」・「報酬」を定める
※ただし、通常は着手時に「報酬」もおり込んで、着手金を算定する(上記の着手金標準額の表)
■裁判所の破産手続開始決定前に「予納金」を納める。
※名古屋地方裁判所における予納金は上記の表の通り(岐阜・三重・静岡でもほぼ同様)。
となります。
当事務所では、法人破産を含めた倒産・再生案件は早めの相談が重要と考えておりますので、無料相談(初回の1時間)を実施しております。
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愛知県・名古屋市で法人破産を弁護士に委任するメリットのまとめ
「会社の破産を考えていますが、弁護士に委任するメリットは何でしょうか?」
「法人の代表者ですが、弁護士に委任することなく法人の破産はできますか?」
こういったご相談が増えています。
当事務所では、名古屋市内の法人や、最近では愛知県・近隣の企業の破産を行うことが多いのですが、「法人の破産を弁護士に委任するメリット」についてご説明する機会が増えています。
以下、当事務所が愛知県(その近隣)・名古屋市で法人破産の委任を受けた際に感じている主なメリットを3点にまとめました。
結論は
メリットその1 債権者との対応からの解放
メリットその2 スピーディな進行・解決
メリットその3 連帯保証の解決
以上の3点です。以下、解説していきます。
メリットその1 債権者との対応からの解放
破産を検討するケースは、支払いの一部が遅れている、一部の債権者から何度も問い合わせを受ける、という状態になっています。
そのため、法人の代表者や経理担当者が債権者との対応に忙殺されて、本来の業務ができない、そのため業績の回復が遠ざかる、という悪循環におちいっているケースも見かけます。
そのため、当事務所では、破産するか、破産することなく別の事業再生の方法をとるのか調査・検討する場合にも、弁護士に委任して、債権者との窓口になるということを行っています。
結果として、破産せずに、事業譲渡や会社分割、その他の事業再生の方法をとるケースもあります。
また、引き続いて破産を弁護士に委任するケースもあります。
いずれにしても、弁護士に委任することにより、債権者との対応から代表者・担当者を解放すること、この点が弁護士に委任する大きなメリットといえます。
メリットその2 スピーディな進行・解決
破産を検討する法人だけでなく、債権者側にとっても、スピーディな進行は重要です。
そのためには、破産の専門家である弁護士に相談して、「破産するのか、しないのか」「破産しない場合、負債はどのように処理するのか」「スキームはどうするのか」というスピーディに決定する必要があります。
さらに、方法やスキームを決定した上で、あるいは、決定する前に「事業再生を検討している」として弁護士に委任することにより、その後の進行もスピーディに進めることができます。
また、破産は手続きですので、その後の進行は破産手続きにそって進行していきます(一般的な法人破産の流れは「法人破産の手続きの流れ」をご覧ください)。
この点も専門家である弁護士に委任しておけば、手続きが事前にわかるためスピーディに準備ができます。
どうしても、負債をかかえた状態で法人内部だけで検討すると、決定に時間がかかるだけでなく、「もう一度、専門家に聞いてみよう」という手間もかかってしまいます。また、その後の手続きが分からないと、準備する事項も分からない、という状態になってしまいます。
専門家である弁護士への委任(事前の相談)は、スピード感のある負債問題の解決に必要といえます。
メリットその3 連帯保証の解決
法人を破産する場合、中小企業においては、代表者や親族が連帯保証人となっているケースがほとんどです。
ですので、法人を破産する場合、連帯保証の解決も避けて通れないといえます。
連帯保証人が破産するのか、それともマイホームを守るために個人の民事再生をするのか、それとも経営者保証ガイドラインにのっとって連帯保証の債務整理を行うのか、こういった点を決めて、解決していく必要があります。
そのためにも、専門家である弁護士に委任することがよりベターな解決に向かうことができるといえいます。
以上が、法人破産を弁護士に委任するメリットになります。
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名古屋の【法人破産+事業譲渡】の成功例
「名古屋市内の会社ですが、破産を検討しています。」
「法人破産を検討していますが、事業を譲渡して継続したいです。」
こういった相談が増えていますが、その際、当事務所では実際に代理人をつとめたいくつかの案件を説明しています。
その中で、「名古屋市内の【法人破産+事業譲渡】の成功例」をご説明することがあります。
そこで、今回は【法人破産+事業譲渡】の成功例について解説したいと思います。
10年以上前にさかのぼります。
名古屋市内で印刷業をいとなむA会社の後継者の方が当事務所にいらっしゃいました。
その方は、A社の創業者の長男であり、A社の創業者は父親です。
名古屋市内に工場を借りて、従業員は10名程度。印刷業ですが、工業用の特殊な印刷物が主力商品でした。
バブル崩壊前はA社の業績は右肩上がりでしたが、その後、徐々に悪くなってきている状況。
さらに、もともと父親と親族の方が創業にかかわっており、業績がよかったときはトラブルは無かったのですが、業績が悪化してきてから親族とのトラブルが出るようになりました。
近年は債務超過となり、銀行からの追加の融資を受けることも難しい状況でした。
資金繰りもタイトになっており、代表取締役(創業者である父親)が個人資産を運転資金として投入していました。
取締役(息子さん)は、「このままだと破産しかないですが、父親が続けてきた印刷業をなんとか残したい」「取引先も従業員も、みんな続けることを望んでいます」という思いを話してくださいました。
そこで、当事務所は、息子さんにB会社を設立してもらい、A社の事業(印刷業)をB会社に譲渡することにしました。
A社は古い印刷機械があり、中古機械メーカーに買い取り見積もりを依頼し、買取査定額を適正に算定しました。
また、A社の事業の収益をもとに、会計士の方に事業価値の算定を依頼しました。
このようにして、A社の事業価値を算定し、B社が営業譲渡により印刷業を譲り受けました(全従業員の雇用は維持)。
B社はA社に事業譲渡の対価を支払い、A社は譲渡対価をもとに破産の準備に入りました(A社には金融機関からの借り入れや古い買掛金等が残っていました)。
A社の自己破産と同時に、代表取締役(父親)も自己破産の申立てを行いました(個人的に消費者金融等から多額の借り入れがありました)。
B社は、A社からの負債を引き継ぐことなく、印刷業を譲り受け、雇用も維持することができました。
息子さん(B社の代表取締役)は新規営業に注力して、売り上げを伸ばし、現在に至っています。
以上が、当事務所が代理人をつとめた、【法人破産+事業譲渡】の成功例です。
参考にしていただければと思います。
当事務所では、法人破産を含めた倒産・再生案件は早めの相談が重要と考えておりますので、無料相談(初回の1時間)を実施しております。
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上記以外でも一度ご相談ください。
愛知県・名古屋で法人や企業の破産をする前にチェックしておくべき5つのポイント
「会社の破産を考えていますが、まず何をチェックすればよいですか?」
「法人の代表者ですが、法人の破産をする前にチェックしておくことは何ですか?」
こういったご相談が増えています。
当事務所では、名古屋市内の法人や、最近では愛知県・近隣の企業の破産を行うことが多いのですが、破産する前に以下の点をチェックしてくださいとお願いしています。
①破産の流れを理解したうえで、法人と代表者の資産・債務の全体を冷静に把握してください。
②破産は最終手段なので、破産を回避できないかを確認してください。
③破産する旨の通知(受任通知と言います)を債権者に発送する日を決めてください。
④社員の方々に関する資料(タイムカード・賃金台帳・雇用契約書・就業規則・社会保険の資料)を準備してください。
⑤法人の代表者の資産(生活費)を確認してください。
【①破産の流れと、法人・代表者の資産・債務の把握】
破産は手続きですので、流れがほぼ決まっています。ですので、「次に何があるか」を知っておくと、スピーディに準備ができますし、なにより安心感につながります。
破産は、どうしても不安になり、冷静な判断ができなくなります。ですので、まずは流れを理解しておくことです(→法人破産の手続きの流れをご覧ください)。
そのうえで、法人と代表者の資産と負債(取引先、税金や社会保険の未払いを含みます)の全体を把握します。
その際に法人であれば2年分の決算報告書・確定申告書の控えをもとにチェックしていきます。
代表者については、個人の通帳、保険証券、不動産の謄本等をもとに資産や負債を把握していきます。
【②破産の回避の確認】
次に、①と並行して、「破産は最終手段」ですので、回避できないかを確認します。
ただ、破産を検討している段階ですから、法人をそのまま継続することは困難な場合が多いです。
そのため、法人の事業を譲渡することによって、事業だけは継続できないかという点のチェックがメインになります。
そこで、具体的には、法人の2年分の決算報告書・確定申告書の控えをもとに、「事業単体で利益が出るのか?」「事業を譲渡する場合の対価はどうするか?」といった点を確認します。
これによって、「事業単体で利益が出せる」「事業分野・対価からみれば買い手もいる」というメドがつきますと、事業譲渡を具体的に検討することになります。
逆に、「事業単体で利益が出ない」「事業分野・対価からみると、買い手がでそうにない」という判断になれば、破産するほかない、という場合もあります。
【③受任通知の発送日を決める】
以上から「法人を破産する」と決めた場合、次に③破産する旨の通知を債権者に発送する日を決めることになります。
この「受任通知」によって、法人は破産の準備を開始することを債権者その他関係者に知らせることになります。
また「受任通知」後、法人は事業を停止して、社員を解雇することになります。
このように受任通知をいつ発送するか、というのは重要な意味があります。
そこで、事前に「いつ受任通知を発送するのか」を慎重に決めることになります。
【④社員の方々に関する資料のチェック】
受任通知を出すのと同時に、当事務所では、全社員の方々に集まってもらい、弁護士から「破産します」「全員解雇となります」といった説明を行います。
その際に、社員の方々に関する資料(タイムカード・賃金台帳・雇用契約書・就業規則・社会保険の資料)を準備してもらいます。
社員の方々に対して、未払いの給与・解雇予告手当の計算を行って、残余財産があれば支払うこと、失業保険の給付のために手続きをとること、社会保険の切り替えについて説明します。
そのため、破産する前に、社員の方々に関する資料(タイムカード・賃金台帳・雇用契約書・就業規則・社会保険の資料)がそろっているかどうか、チェックするようにお願いしています。
【⑤法人の代表者の資産(生活費)の確認】
最後に、受任通知を発送すると、金融機関は法人の預金口座をロックします。
同時に金融機関は、連帯保証人(通常は法人の代表者)の預金口座もロックします。
そのため、事前に法人の代表者の口座から生活費や破産費用を引き出しておくことが必要です。
引き出したのちの使途や金額は、破産する場合にはすべて裁判所に記録として提出します。
以上が、法人や企業の破産をする前にチェックしておくポイントのまとめになります。
ご不明な点等がございましたら、無料相談をご利用ください。よろしくお願いいたします。
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名古屋地方裁判所における法人破産の流れについて
法人破産に関する相談が増えています。
そのなかで「破産というだけで不安なのに裁判所での手続きとなると、よくわからないから不安でしょうがない」という声をよく耳にします。
当事務所は名古屋市内にあるので、名古屋地方裁判所に破産申し立てを行うことが多いです(過去の倒産案件の実績については→弁護士紹介をご覧ください)。
そこで、今回は、法人破産の名古屋地方裁判所における流れについて解説します。
この解説を見て頂ければ、名古屋地方裁判所における法人破産の流れが理解できると思います。
できるかぎり分かりやすく具体的に解説しますので、すこしでも不安が解消されればと思います。
■破産件数の推移
名古屋地方裁判所(一宮・豊橋・岡崎の各支部を含みます)における破産件数は以下の通りです(愛知県の司法統計によります)。
平成26年 3158件
平成27年 3043件
平成28年 3038件
平成29年 3326件
平成30年 3450件
以上のように、平成28年までは微減していたのですが、平成29年より増加に転じていることがわかります。
ただ、この統計は「個人の自己破産」「法人破産」すべてを含んでいます。
■法人破産の流れ
一般的な法人破産の流れは「法人破産の手続きの流れ」をご覧ください。
以下はおおまかな流れです。
①弁護士に相談
↓
②弁護士に法人破産を委任
↓
③弁護士が法人破産の通知書を債権者に発送=破産申立準備を開始
↓ ③の1か月~2か月後
④弁護士が裁判所に破産申立
↓ ④の2週間~3週間後
⑤裁判所が法人について「破産手続開始決定」を下す
↓ その後、破産管財人が資産の換価や債権の調査等を行います。
⑥約3か月後に裁判所において第1回の債権者集会が開催
↓
⑦終了集会・同時廃止等による破産手続きの終了事由
⑤の6か月後~1年後 破産手続の終了
以上が大まかな流れです。より詳しい解説については「法人破産の流れが知りたい方、必見です」をご覧ください。
名古屋地方裁判所は愛知県弁護士会と協議して、④裁判所に破産申立をする際の「申立書」のひな型について意見調整しています。
当事務所では、「申立書」のひな型を用いて(若干修正して)、法人破産の申立てを行っています。
以下の「申立書」を見て頂ければ、名古屋地方裁判所において、破産の申立てのためにどのような準備が必要かが分かるかと思います。
当事務所では、法人破産を含めた倒産・再生案件は早めの相談が重要と考えておりますので、無料相談(初回の1時間)を実施しております。
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飲食店の営業譲渡 手順のまとめ③営業譲渡後の流れ
今回は「飲食店の営業譲渡 手順のまとめ」の第3回(最終回)になります。
今回は③営業譲渡後の流れについて解説していきます。
今回の内容を理解して頂ければ、飲食店の営業譲渡後の流れが理解できると思います。
今回も以下の具体例をもとに解説していきます。
■A株式会社(a代表取締役)が飲食店Bを経営。
■A株式会社はBの開業資金や運転資金の借り入れが膨らみ債務超過。
■a代表取締役は、知り合いのC株式会社にBの営業譲渡を検討。
■営業譲渡後、A株式会社は破産(特別清算)を予定。
結論から言いますと
①A株式会社は破産して清算。
②C株式会社が営業譲渡を受けた飲食店Bの営業を継続。
ということになります。
具体的に言いますと
まず①については、Aは営業譲渡によって譲渡代金を得ます。逆に、飲食店Bの備品や在庫といった資産は譲渡されます。
Aは、過去の負債を抱えていますので、譲渡代金を破産のための費用に充てて破産を申し立て、清算することになります。
破産した場合に重要な点が、「譲渡対価が適性であったかどうか」です。
そのため、「飲食店の営業譲渡 手順のまとめ」の第1回での対価の算定が重要になるわけです。
次に、②Cが営業譲渡を受けた飲食店Bの営業を継続します。
そのために重要な点は以下の通り。
■Cが飲食店Bの営業に関する許可が必要となること
■飲食店Bの従業員が継続すること(とくに店長などのキーマンの雇用継続ができるかどうかがポイント)
■今までの仕入れ先が今後も食材等の仕入れを継続してくれるかどうか
以上の点をわかりやすくイメージ図にまとめました。
以上が、営業譲渡後の流れになります。
今までの「飲食店の営業譲渡 手順のまとめ」第1回から今回までを見ていただければ、
債務超過の飲食店について営業譲渡によって債務を切り離して、営業を継続する(旧運営会社は破産)の手順がご理解頂けたかと思います。
ご不明な点等がございましたら、無料相談をご利用ください。よろしくお願いいたします。
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飲食店の営業譲渡 手順のまとめ①事前の準備
『経営する飲食店の赤字が続いているので、営業権を譲渡したいです』
『負債を切り離して、飲食事業を譲渡できないですか』
飲食店の事業譲渡(営業譲渡)に関する相談が増えています。
ですが、飲食店の負債を切り離して営業譲渡を実行する場合、その手順が分かりにくいという相談が多いです。
当事務所では飲食店の営業譲渡を代理人として行うことがありますが、その経験を踏まえて、具体的な手順をまとめました。
そこで、今回は「飲食店の営業譲渡の手順のまとめ」(①事前準備編)を解説します。
※商法上は「事業譲渡」ですが、分かりやすいので説明上は「営業譲渡」という用語で統一します。
このブログで解説する手順を理解して頂けると、以下の具体的な手順がご理解頂けると思います。
■「経営する飲食店を営業譲渡し、飲食店の負債を切り離す」
■「負債を切り離したうえで譲受先が飲食店を継続する」
■「譲渡会社(元経営会社)は負債を清算する(破産)」
大まかな流れとしては
①飲食店の営業譲渡に向けた準備
↓
②営業譲渡の実行(負債の切り離し)
↓
③営業譲渡後の運営会社の破産・清算
となります。
そこで今回は、①飲食店の営業譲渡に向けた準備について解説します。
営業譲渡は事前の準備がとても重要です。
分かりやすくするために以下の具体例をもとに解説していきます。
■A株式会社(a代表取締役)が飲食店Bを経営。
■A株式会社はBの開業資金や運転資金の借り入れが膨らみ債務超過。
■a代表取締役は、知り合いのC株式会社にBの営業譲渡を検討。
■営業譲渡後、A株式会社は破産(特別清算)を予定。
【飲食店Bの営業譲渡に向けた準備】
1 A株式会社の決算報告書・明細書(2期分)の確認
まず当事務所では決算報告書・明細書の確認をします。
なぜなら、A株式会社が破産した場合、裁判所・管財人は必ず決算報告書・明細書(少なくとも2期分)を調査するからです。
「実は粉飾があります」ということもよくあり、どこをどのように粉飾したのか、場合によっては税理士の先生に実態を示すBSの作成をお願いするときもあります。
また「経営者が手書きの申告書を作って税務申告するだけで、明細書なんて無いよ」というケースも稀にあります。この場合、税理士の先生にお願いして、直近1期分の決算報告書・明細書を作成してもらうときもあります。
以上のように、まずは決算報告書・明細書(2期分)を確認します。
2 決算報告書・明細書から最新の「資産」をピックアップする
次に、決算報告書・明細書からA株式会社の最新の「資産」をピックアップします。
これを基に、さらに詳細な「飲食店Bの財産目録(最新の資産明細:簿価&実勢価格)」を作成します。
これが非常に重要です。これに漏れがあると作り直しというだけでなく、後になってスキーム全体の変更が迫られることもありますので、A株式会社のa代表取締役や経理担当者からヒアリングを行って漏れが無いように作成します。
3 決算報告書・明細書+ヒアリングを基に「賃借・リース物件」をピックアップする
2と同時並行して、決算報告書・明細書(さらにヒアリングも行って)から飲食店Bの「賃借・リース物件」をピックアップします。
飲食店は、店舗やレジ・厨房機器の一部等をリースしているケースが多いです。
そのため、C株式会社が飲食店Bを経営する場合に必要な「賃借・リース物件」を明らかにした上で、賃貸人・リース会社と事前協議する必要があります。
具体的には、店舗の賃貸人、レジや厨房機器のリース会社です。
飲食店は「場所」が非常に重要であることが多いので、なかなか移転が困難です。そのため店舗の賃貸人との交渉が非常に重要になります。
そのため、「賃借・リース物件」をピックアップした上で、さらにヒアリングを進めて、「他の会社が賃借・リースすること」が可能かどうかも検討します。
仮に、この時点で「店舗の賃貸人が飲食店Bの退去を強く求めている」「飲食店Bの重要なリース物件の継続が不可」ということが明らかになれば、営業譲渡自体を断念せざるを得ない、という場合もあります。
4 従業員の未払い給与の有無・雇用継続の確認
次に、a代表取締役に対して、飲食店Bの従業員・アルバイトに対する未払い給与があるかどうか、今後、C株式会社が飲食店Bを経営する場合に雇用継続が可能かどうか、こういった点を確認します。
5 譲渡対価の算定+譲渡可能性の検討
以上1~4を検討し、「飲食店Bの営業譲渡ができそうだ」という見込みを確認した後、「譲渡対価」を算定します。
具体的には、上記2の【飲食店Bの資産全体の実勢価格】を基に譲渡対価を算定します。
譲渡対価=現時点の飲食店Bの資産の実勢価格の合計+α(のれん代等)
おおまかには以上のように算定します。
DCF法、キャッシュフローを基に算定などなど、種々の算定方法があります。
しかし、飲食店Bの営業譲渡(事業譲渡)+A株式会社の破産という場合、飲食店Bは赤字店舗のケースがほとんどです。
また昨今の新型コロナウィルス蔓延に伴う外食減少の傾向からしますと、黒字店舗の譲渡はまずありません。
ですので、「飲食店Bの利益を見込んで譲渡対価を算定する」というのは、「赤字だから価値0」という結果になりかねません。
そのため、上記のように【飲食店Bの資産の実勢価格の合計+α(のれん代等)】を基に、飲食店Bの営業譲渡の対価を算定するほうがよいと考えています。
また、A株式会社が破産した後に、飲食店Bの営業譲渡が破産手続きが必ず論点となりますので、譲渡対価の算定は非常に重要です。
6 譲渡先の探索(機密保持契約の締結)
以上の手順で譲渡対価を算定した後、通常は、M&A仲介業者等を通じて、営業譲渡を受けてくれる会社があるかどうかを探します。
具体的には、【〇〇市 飲食店(種類〇〇) 譲渡対価〇〇円程度 事業譲渡】といった概要を提示して、譲渡先を探すことになります。
ただ、飲食店Bのように赤字店舗の場合、なかなか買い手が見つからないことが多いです。
そのため、譲渡先を広く探しつつ、知り合いのC株式会社に正式に営業譲渡を提案する、ということが多いです。
C株式会社は、場合によっては財務DDを実施して、飲食店Bの赤字原因が何かや赤字原因を除去できるかどうか等を調査することがあります。
そのうえで【譲渡対価〇〇円】その他譲渡条件について詰めた交渉を行います。
以上のように、M&A仲介業者等にA株式会社や飲食店Bの機密情報を開示することになりますので、事前に機密保持契約書を取り交わします。
以上の手順で飲食店Bの買い手(営業譲渡先)を探し、譲渡条件がまとまれば合意に進むことになります。
以上が①飲食店の営業譲渡に向けた準備となります。
後日、②営業譲渡の実行(負債の切り離し)・③営業譲渡後の運営会社の破産・清算についてもブログにアップしてきます。
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法人破産のデメリットとその対応策
「法人破産のデメリットは何ですか?」
「法人破産を検討していますが、デメリットの対応策はありますか?」
法人破産の相談の際に、こういった質問を受けることが増えています。
法人破産に伴うデメリットは大きいですが、対応策もありますので、十分に検討する必要があります。
そこで、今回は法人破産のデメリットと、その対応策についてご説明します。
本コラムをお読みいただければ、法人破産のデメリットの内容と対応策がご理解いただけると思います。
なお、法人破産の基礎知識については、「破産・特別清算の基礎知識」をご覧ください。
結論から述べますとデメリットは以下の5点です。
デメリット①:法人の事業がすべて停止。すべての取引先・債権者に対して支払不可。債権者からの厳しい督促。
デメリット②:法人の資産は破産手続においてすべて処分。
デメリット③:従業員は全員解雇。
デメリット④:「破産」という風評被害の発生。
デメリット⑤:①にともなって、法人の連帯保証人(主に代表取締役)の責任追及(場合によっては連帯保証人の自己破産も)。
ほかにも過去の処分行為についての否認権行使のリスク等、いろいろありますが主なデメリットは以上の5点かと思います。
デメリット①~⑤いずれも「破産」したとなれば、こういったデメリットが発生することは当然といえば当然の結果といえます。
では、以上のデメリットに対する対応策は何が考えられるでしょうか。
デメリット①・②について
まず債権者からの厳しい督促(とくに経営陣に対する責任追及)については、弁護士に委任することによって収束を図ることが可能です。
また法人の事業について、事業譲渡あるいは会社分割によって引き受け会社・スポンサーに移転して、「事業を継続する」という対応策が考えられます。
この際の注意事項は、譲渡対価を適正に評価すること、評価方法の資料を残しておくこと、という点です。
これを怠りますと、後々「否認リスク」あるいは詐害行為取消権の対象となる、といった問題が発生します。
デメリット③(解雇)について
上記の通り、事業譲渡・会社分割といった方法によって事業が継続できれば、従業員の雇用も継続するということが対応策となります。
また、雇用継続ができない場合であっても、解雇後の失業保険の給付や、未払い給与に関する立て替え払い制度の利用といった方法により対応することが考えられます。
デメリット④(風評被害)について
この点も、事業譲渡・会社分割といった方法によって事業を継続し、残された法人を特別清算によって清算することによって風評被害を最小限に抑えることが対応策になります。
ただし、特別清算は残された債権者の「承諾」が要件となりますので、この点がハードルになることは留意しておく必要があります。
デメリット⑤(連帯保証人の自己破産)について
この点は、最終的には債権者との協議となりますが、債権者が金融機関だけであれば、「経営者保証のガイドライン」の適用による保証債務の整理という方法が対応策になります。
ただし、この手法も金融機関の承諾が要件ですので、この点に留意が必要です。
以上のように、法人破産には大きなデメリットがありますが、それに対する対応策もあります。
ですので、法人破産について検討する際には、破産の方法だけでなく、対応策についても慎重に検討する必要があります。
以上のデメリットの内容と対応策を確認しておくと、法人破産における「漠然とした不安」が相当程度、払しょくできるかと思います。
なお、当事務所における「法人破産を含めた倒産・再生案件についての実績」は、「弁護士紹介」をご覧頂きたいです。
当事務所では、法人破産を含めた倒産・再生案件は、早めの相談が重要と考えておりますので、最初の相談については30分無料としております。
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特別清算と破産の違い ~金融機関はどのように見ているのか?
「特別清算と破産の違いはなんでしょうか?」
「債務超過の会社ですが、破産ではなく特別清算で清算できないでしょうか?」
「特別清算」や「破産」のご相談のときに、上記のようなご質問を受けるときがよくあります。
会社が債務超過となり廃業して清算せざるをえない場合、できれば「破産」は避けたいと考えます。
なぜなら、「会社が破産した」となれば、同業者間で大きなウワサとなり、風評被害が出るからです(特別清算は、破産と同じく、債務超過における清算方法なのですが、破産に比べれば風評被害は小さいと言えます)。
そのため、「特別清算」で清算できないか、と考えるのは自然といえます。
ただし、「特別清算」は債権者の同意がないと進めることはできません。
具体的には、金融機関の同意がとれなければ進められません。
※金融機関が債権者にいなければ、金融機関の同意は考える必要はありません。けれども一般的には大口の債権者は金融機関、ということが多いといえます。
そこで、「特別清算」と「破産」の違いを説明し、金融機関の視点を考えたいと思います。
※破産・特別清算に関する基本的な説明については、「破産・特別清算の基礎知識」をご覧ください。
まず、「特別清算」と「破産」の共通点は以下の通りです。
①債務超過であること
②裁判所が関与する清算型の手法であること
主には以上の通りです。
次に、「特別清算」と「破産」の違いは以下の通りです。
①清算の主体が「特別清算」では特別清算人(株主総会にて選任)
「破産」では管財人(裁判所が選任)
②「特別清算」では、債権者の同意が必要。
「破産」では、債権者の同意は不要。
③「特別清算」では、予納金(裁判所に納める手数料)は比較的安い。また比較的手続きが早い。
「破産」は予納金が比較的高額。比較的、手続きが遅い。
主には以上の通りです。そのほかにも特別清算は株式会社だけ、などの違いもありますがここでは割愛します。
以上の点を踏まえて「金融機関の視点」を考えてみます。
特別清算の申し立てをする場合、事前に金融機関に対して『この度、事業を停止して特別清算にて清算したいと考えています。ついては御行に対する借入金を特別清算にて清算することにご同意いただけないでしょうか』と連絡することが一般的です。
これに対して金融機関は簡単に同意しません。
金融機関から見れば債権の放棄ですので、簡単には同意できない、という結論に至るのは当然といえば当然です。
また、実質的な理由もあります。
「破産」では裁判所が選任した管財人が、破産者の資産や債権の有無はもちろん、破産に至る原因や破産前に債権者を害するような処分がなかったか等を調査・報告することになります。
「特別清算」でも、特別清算人が資産や債権等を調査しますが、特別清算人はあくまでも株主総会で選任されただけであり、いわば身内です(通常は、代表取締役がそのまま特別清算人に就任します)。
ですので、金融機関は、貸付金の回収不能(破産でも特別清算でも、この結論は同じです)について、破産であれば、裁判所が選任した管財人によるチェックと報告がなされることから、「回収不能という結論が同じであれば、管財人の調査がある破産で進めてほしい」という考えに至るわけです。
以上の「特別清算」と「破産」の違い、そして「金融機関の視点」を理解しないまま、単に金融機関に特別清算の同意を求めても、金融機関は「同意しません。破産をご検討されたらいかがですか」という回答になることが多いです。
そこで、金融機関に対して特別清算の同意を求める場合、以下の点を説明することが多いといえます。
①外部の専門家(公認会計士など)が、債務超過の原因や不当な処分がないかどうか、また資産の状況や債権の詳細について調査を行い、すべての金融機関に報告すること。
②清算する会社に関して事業譲渡や会社分割その他の手法によって「事業の処分」を行い、その対価を得ることができるため、単に「破産するよりも、特別清算によって清算するほうが清算時の配当が多額になること。
結論だけ言ってしまえば、①清算する会社のすべてを明らかにして、②破産よりも多額の配当を行うので、「特別清算」に同意してほしい、というお願いをすることになるのが一般的です。
もちろん、このようにお願いをしても金融機関が特別清算に同意しないことも多々あります。
やはり、金融機関にとってみれば、貸付金の回収不能を自ら「同意する」というのは、非常にハードルが高いことといえます。
とくに金融機関が嫌がるのは、①に関して、虚偽の説明をしたり重要な事実を隠すことです。
こういった事態が発覚すれば、まず特別清算の同意は難しいといえます(「破産」するほかない、ということになります)。
「特別清算」を進めるのであれば、以上の点を十分に理解しておくことが必要になります。
当事務所では、「廃業・清算、事業再生案件は早めの相談が重要」と考えておりますので、最初の相談については30分無料としております。
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