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失敗しないために! 廃業する会社を買うときの5つの注意点
2月2日の日経新聞朝刊(中部経済)によると、2020年における愛知・岐阜・三重・静岡の四県の休廃業が5475件と過去最高だったとのこと。
経営者の高齢化や後継者不足にコロナ禍が追い打ちをかけた、と報道されていました。
最近は、「破産や民事再生」よりも、「廃業したいですが、どうしたらいいでしょうか」「廃業する会社を買うときの注意点はなにでしょうか」といったご相談が増えている印象です。やはり休業・廃業する会社が増えている、ということかと思います。
ちなみに、廃業とは、破産などの法的な清算ではありません。
ざっくり言いますと「自主的に事業を停止し、残った資産で負債を支払って事業を終了すること」を意味します。
廃業する会社を買うメリット・注意点については「廃業する会社を買う方法 5つのメリットと注意点をまとめました」にて説明しております。
今回は廃業する会社を買うときの注意点にフォーカスして説明していきたいと思います。
一般的には、「あの会社が廃業する予定と言っている」「取引先の会社が半年後に廃業するうようだ」こういった情報は、なかなか出てこないといえます。
そのため、以下のような方法から「廃業する会社を買うことがスタート」するのが通常です。
①会社の経営者が付き合いのある同業者に「廃業することを考えているが、社員もまとめて買ってくれませんか」とお願いする。
②会社の金融機関や税理士といった外部の専門家が、会社が苦しい様子を見て、付き合いのある他社に「廃業する可能性があるが、買いませんか」と話を切り出す。
③M&Aの仲介業者が依頼を受けて、買収にむけて動く。
このようにして廃業する会社を買うことがスタートした場合、どのような点に注意して進めていけばよいのでしょうか。
【廃業する会社を買うときの注意点】
1 簿外債務・偶発債務
「廃業する会社を買ってみたものの、決算書にのっていない債務があった」
「未払いの残業代があったようで、会社を買ったら、労働者から残業代を払えと訴えられた」
こういった、簿外債務・偶発債務は、廃業する会社を買うときの重要な注意点です。
ですので、事業譲渡によって債務を切り離して事業だけを買う、リスクのある経営資源は切り離しておく、というのがベターと言えます。
また、2のヒアリングが重要になります。
2 旧経営陣からのヒアリング
簿外債務や偶発債務などは、会計帳簿や雇用契約書だけでは分からない点があります。
そのため「旧経営陣からの事前のヒアリング」が非常に重要になります。
場合によっては、ヒアリングによって聞き出した事項を株式譲渡契約書や事業譲渡契約書に明記することも必要になるでしょう。
ですので、旧経営陣とヒアリングを十分に行って、廃業する会社の全容を把握する、ここで抜けやモレがあると、買収後に大きな問題が発生することがありますので慎重に進める必要があります。また、実際に面談してヒアリングすることによって、会計帳簿といった書面では分からない、企業文化や社風といった点を理解することができます。
3 取引先との契約終了
廃業する会社を買うときには、「継続するはずの取引先との契約が終了となった」という事態が発生すると買うメリットが失われることになります。
この点は取引先との契約書や引継ぎがどのようにできるか、といった点を調査することで予防することできます。
4 従業員の離反
「確保できるはずの従業員が退職した」「ついてくると思っていた社員が実は会社とトラブルになっていた」という事態に直面すると、かえってデメリットになります。
この点も事前に調査すること、場合によっては個別面談を実施して慎重に調査する必要があります。
5 引継ぎの協力 ~買収後のトラブルの予防
実際に最も多いトラブルが、「廃業する会社を買って業務の引継ぎを行いたいと思ったら、旧経営陣が協力しない」「廃業する会社を買った後、旧経営陣が従業員に対して、勝手な指示を出している」といったものです。
ですので、1~4の調査やヒアリングが終わったら、「業務引継ぎのために、旧経営陣がどのような協力をするのか」「会社を買った後の組織図と業務フロー」といった細かな点をしっかりと書面で取り交わしておくことが重要です。
この点が合意できない場合には、廃業する会社を買うことは見送るべきと考えます(買った後にトラブルになる可能性が高いため)。
以上が、廃業する会社を買うときの注意点のまとめです。
廃業する会社が事業譲渡を検討する場合、あるいは廃業予定の会社を買収する場合には、早めに専門家の相談を受けることをおすすめします。
廃業する会社もいろいろですので、実際には会社の中身を慎重に見ないと、あとになって不測の損失をうけることがあるからです。
当事務所では、廃業を含めた倒産・再生案件は早めの相談が重要と考えておりますので、無料相談(初回の1時間)を実施しております。
無料相談のご予約は0120-710-883にお電話いただくか、お問い合わせフォームにてご連絡ください。
なお、無料相談を含めた倒産・再生のスケジュールについては事業再生のスケジュールをご覧ください。
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飲食店の営業譲渡 手順のまとめ③営業譲渡後の流れ
今回は「飲食店の営業譲渡 手順のまとめ」の第3回(最終回)になります。
今回は③営業譲渡後の流れについて解説していきます。
今回の内容を理解して頂ければ、飲食店の営業譲渡後の流れが理解できると思います。
今回も以下の具体例をもとに解説していきます。
■A株式会社(a代表取締役)が飲食店Bを経営。
■A株式会社はBの開業資金や運転資金の借り入れが膨らみ債務超過。
■a代表取締役は、知り合いのC株式会社にBの営業譲渡を検討。
■営業譲渡後、A株式会社は破産(特別清算)を予定。
結論から言いますと
①A株式会社は破産して清算。
②C株式会社が営業譲渡を受けた飲食店Bの営業を継続。
ということになります。
具体的に言いますと
まず①については、Aは営業譲渡によって譲渡代金を得ます。逆に、飲食店Bの備品や在庫といった資産は譲渡されます。
Aは、過去の負債を抱えていますので、譲渡代金を破産のための費用に充てて破産を申し立て、清算することになります。
破産した場合に重要な点が、「譲渡対価が適性であったかどうか」です。
そのため、「飲食店の営業譲渡 手順のまとめ」の第1回での対価の算定が重要になるわけです。
次に、②Cが営業譲渡を受けた飲食店Bの営業を継続します。
そのために重要な点は以下の通り。
■Cが飲食店Bの営業に関する許可が必要となること
■飲食店Bの従業員が継続すること(とくに店長などのキーマンの雇用継続ができるかどうかがポイント)
■今までの仕入れ先が今後も食材等の仕入れを継続してくれるかどうか
以上の点をわかりやすくイメージ図にまとめました。
以上が、営業譲渡後の流れになります。
今までの「飲食店の営業譲渡 手順のまとめ」第1回から今回までを見ていただければ、
債務超過の飲食店について営業譲渡によって債務を切り離して、営業を継続する(旧運営会社は破産)の手順がご理解頂けたかと思います。
ご不明な点等がございましたら、無料相談をご利用ください。よろしくお願いいたします。
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飲食店の営業譲渡 手順のまとめ②営業譲渡の実行(負債の切り離し)
今回は「飲食店の営業譲渡 手順のまとめ」の第2回になります。
今回は②営業譲渡の実行(※債務の切り離し)について解説していきます。
今回の内容を理解して頂ければ、飲食店の営業譲渡の準備と債務の切り離しの手順が理解できると思います。
今回も以下の具体例をもとに解説していきます。
■A株式会社(a代表取締役)が飲食店Bを経営。
■A株式会社はBの開業資金や運転資金の借り入れが膨らみ債務超過。
■a代表取締役は、知り合いのC株式会社にBの営業譲渡を検討。
■営業譲渡後、A株式会社は破産(特別清算)を予定。
第1回のふりかえりですが、【飲食店Bの営業譲渡に向けた準備】の手順は以下の通りです。
1 A株式会社の決算報告書・明細書(2期分)の確認
↓
2 決算報告書・明細書から最新の「資産」をピックアップする
↓
3 決算報告書・明細書+ヒアリングを基に「賃借・リース物件」をピックアップする
↓
4 従業員の未払い給与の有無・雇用継続の確認
↓
5 譲渡対価の算定+譲渡可能性の検討
↓
6 譲渡先の探索(機密保持契約の締結)
以上の手順で準備を進めていきます。
次に、今回の本題である「営業譲渡の実行」に進むことになります。
具体的に手順を解説します。
7 機密保持契約書の締結と資料の開示
6において【〇〇市 飲食店(種類〇〇) 譲渡対価〇〇円程度 事業譲渡】といった概要の準備をすることを解説しました。
この概要について譲受に興味を示した候補者があらわれると、機密保持契約書を締結して、基礎資料(初期資料)を開示します。
具体的には飲食店Bの基本情報を開示することになります。
■〇〇市〇〇町所在
■業 種: (居酒屋・イタリアンレストランなど)
■開業日: 年 月
■店 舗:賃貸(3でピックアップした賃貸借:簡略な図面を示すこともあります)
■賃料等:賃料や共益費(ヒアリングにて賃貸人の意向が分かれば記載します)
■席 数:〇〇席
■売 上:月 円程度(直近の売上:1の明細書等で確認)
■経 費:月 円程度(直近の経費;1の明細書等で確認)
■従業員:〇人(4において確認したBに関する正社員・アルバイト)
※とくにキーマン(店長や料理長)の意向は営業の譲渡においては重要。
■リース:〇〇(3でピックアップしたリース物件の内容、月額リース料など)
■什器類:〇〇(2でピックアップした資産の内容、レジその他)
■対 価:〇〇万円(5で査定した営業譲渡の対価)
ざっと以上です。
逆に言えば、以上の基礎資料をきちんと作成するためにも、①営業譲渡に向けた準備は非常に重要になります。
8 基本合意書の締結
買い手候補者(C株式会社)が7の基礎資料を見て、営業譲渡を進めたいと思えば、次に基本合意書を締結するのが一般的です。
基本合意書の内容はケースバイケースで、簡略な場合もあれば、詳細に作りこむこともあります。
ただ、飲食店1店舗だけの譲渡であれば、簡略なものでいいのではないかと考えています。
Bの譲渡における基本合意書のポイントは以下の通りです。
■店舗の賃貸借は賃貸人が「Bは退去してほしい」と強硬であれば、Cが賃借できないことがあること。
■同じように、Bのリース物件はリース会社の意向によって、Cがリース継続できない場合があること。
■そういった様々な理由で「営業譲渡が実行不可」となった場合、A・Cおたがいに「これまでの費用を払え」という請求はしないことの確認。
■対価〇〇万円の確認。ただし、〇〇という事由が発生した場合には増減あり、も確認。
■Bの従業員の雇用継続をどうするかの事前合意。
以上の点はすくなくとも基本合意書に盛り込んでおくべきでしょう。
9 各種デューデリジェンスの実施
基本合意書を締結した後、各種デューデリジェンスを実施します。
公認会計士による会計デューデリ、弁護士による法務デューデリがメインです。
ただ、①営業譲渡に向けた準備において決算報告書・明細書の確認や粉飾の有無に関するヒアリング、その他調査を進めていれば、それほど難しい問題は生じないと思います。
やはり最初の①営業譲渡に向けた準備が重要、といえます。
以上によって、会計面・法務面においてCが「Bの営業譲渡を進めてよい」と判断すれば、いよいよ営業譲渡の契約を締結します。
10 営業譲渡の契約の締結
ようやく営業譲渡の契約の締結まできました。
最後に重要な債務の切り離しを行います。
手順は以下の通りです。
①A社の資産と負債を明確にする。
②C社がA社から譲り受ける資産と負債を明確にする。
※資産だけを譲り受けて、負債は譲り受けないこともあります。
③C社が譲り受ける資産と負債を営業譲渡契約書に明記する。
※資産を適正に評価して、適正な対価を算定しておくことが重要です。
④A社とC社が営業譲渡契約を締結する。
⑤C社がA社に営業譲渡契約書に基づいて営業譲渡の対価を支払う。
最後に、A社が営業譲渡後の資産(譲渡対価による現金が増えています)と負債を明確にした貸借対照表を作成します。
以上の手順で、A社に負債を残し、B店舗から負債を切り離して、C社が資産を譲り受けてB店舗の営業を継続することができるようになります。
分かりやすくするために、以下に営業譲渡時のイメージ図を添付しておきます。
次回が、最終回となります。最終回では営業譲渡後について解説します。
ご不明な点等がございましたら、無料相談をご利用ください。よろしくお願いいたします。
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飲食店の営業譲渡 手順のまとめ①事前の準備
『経営する飲食店の赤字が続いているので、営業権を譲渡したいです』
『負債を切り離して、飲食事業を譲渡できないですか』
飲食店の事業譲渡(営業譲渡)に関する相談が増えています。
ですが、飲食店の負債を切り離して営業譲渡を実行する場合、その手順が分かりにくいという相談が多いです。
当事務所では飲食店の営業譲渡を代理人として行うことがありますが、その経験を踏まえて、具体的な手順をまとめました。
そこで、今回は「飲食店の営業譲渡の手順のまとめ」(①事前準備編)を解説します。
※商法上は「事業譲渡」ですが、分かりやすいので説明上は「営業譲渡」という用語で統一します。
このブログで解説する手順を理解して頂けると、以下の具体的な手順がご理解頂けると思います。
■「経営する飲食店を営業譲渡し、飲食店の負債を切り離す」
■「負債を切り離したうえで譲受先が飲食店を継続する」
■「譲渡会社(元経営会社)は負債を清算する(破産)」
大まかな流れとしては
①飲食店の営業譲渡に向けた準備
↓
②営業譲渡の実行(負債の切り離し)
↓
③営業譲渡後の運営会社の破産・清算
となります。
そこで今回は、①飲食店の営業譲渡に向けた準備について解説します。
営業譲渡は事前の準備がとても重要です。
分かりやすくするために以下の具体例をもとに解説していきます。
■A株式会社(a代表取締役)が飲食店Bを経営。
■A株式会社はBの開業資金や運転資金の借り入れが膨らみ債務超過。
■a代表取締役は、知り合いのC株式会社にBの営業譲渡を検討。
■営業譲渡後、A株式会社は破産(特別清算)を予定。
【飲食店Bの営業譲渡に向けた準備】
1 A株式会社の決算報告書・明細書(2期分)の確認
まず当事務所では決算報告書・明細書の確認をします。
なぜなら、A株式会社が破産した場合、裁判所・管財人は必ず決算報告書・明細書(少なくとも2期分)を調査するからです。
「実は粉飾があります」ということもよくあり、どこをどのように粉飾したのか、場合によっては税理士の先生に実態を示すBSの作成をお願いするときもあります。
また「経営者が手書きの申告書を作って税務申告するだけで、明細書なんて無いよ」というケースも稀にあります。この場合、税理士の先生にお願いして、直近1期分の決算報告書・明細書を作成してもらうときもあります。
以上のように、まずは決算報告書・明細書(2期分)を確認します。
2 決算報告書・明細書から最新の「資産」をピックアップする
次に、決算報告書・明細書からA株式会社の最新の「資産」をピックアップします。
これを基に、さらに詳細な「飲食店Bの財産目録(最新の資産明細:簿価&実勢価格)」を作成します。
これが非常に重要です。これに漏れがあると作り直しというだけでなく、後になってスキーム全体の変更が迫られることもありますので、A株式会社のa代表取締役や経理担当者からヒアリングを行って漏れが無いように作成します。
3 決算報告書・明細書+ヒアリングを基に「賃借・リース物件」をピックアップする
2と同時並行して、決算報告書・明細書(さらにヒアリングも行って)から飲食店Bの「賃借・リース物件」をピックアップします。
飲食店は、店舗やレジ・厨房機器の一部等をリースしているケースが多いです。
そのため、C株式会社が飲食店Bを経営する場合に必要な「賃借・リース物件」を明らかにした上で、賃貸人・リース会社と事前協議する必要があります。
具体的には、店舗の賃貸人、レジや厨房機器のリース会社です。
飲食店は「場所」が非常に重要であることが多いので、なかなか移転が困難です。そのため店舗の賃貸人との交渉が非常に重要になります。
そのため、「賃借・リース物件」をピックアップした上で、さらにヒアリングを進めて、「他の会社が賃借・リースすること」が可能かどうかも検討します。
仮に、この時点で「店舗の賃貸人が飲食店Bの退去を強く求めている」「飲食店Bの重要なリース物件の継続が不可」ということが明らかになれば、営業譲渡自体を断念せざるを得ない、という場合もあります。
4 従業員の未払い給与の有無・雇用継続の確認
次に、a代表取締役に対して、飲食店Bの従業員・アルバイトに対する未払い給与があるかどうか、今後、C株式会社が飲食店Bを経営する場合に雇用継続が可能かどうか、こういった点を確認します。
5 譲渡対価の算定+譲渡可能性の検討
以上1~4を検討し、「飲食店Bの営業譲渡ができそうだ」という見込みを確認した後、「譲渡対価」を算定します。
具体的には、上記2の【飲食店Bの資産全体の実勢価格】を基に譲渡対価を算定します。
譲渡対価=現時点の飲食店Bの資産の実勢価格の合計+α(のれん代等)
おおまかには以上のように算定します。
DCF法、キャッシュフローを基に算定などなど、種々の算定方法があります。
しかし、飲食店Bの営業譲渡(事業譲渡)+A株式会社の破産という場合、飲食店Bは赤字店舗のケースがほとんどです。
また昨今の新型コロナウィルス蔓延に伴う外食減少の傾向からしますと、黒字店舗の譲渡はまずありません。
ですので、「飲食店Bの利益を見込んで譲渡対価を算定する」というのは、「赤字だから価値0」という結果になりかねません。
そのため、上記のように【飲食店Bの資産の実勢価格の合計+α(のれん代等)】を基に、飲食店Bの営業譲渡の対価を算定するほうがよいと考えています。
また、A株式会社が破産した後に、飲食店Bの営業譲渡が破産手続きが必ず論点となりますので、譲渡対価の算定は非常に重要です。
6 譲渡先の探索(機密保持契約の締結)
以上の手順で譲渡対価を算定した後、通常は、M&A仲介業者等を通じて、営業譲渡を受けてくれる会社があるかどうかを探します。
具体的には、【〇〇市 飲食店(種類〇〇) 譲渡対価〇〇円程度 事業譲渡】といった概要を提示して、譲渡先を探すことになります。
ただ、飲食店Bのように赤字店舗の場合、なかなか買い手が見つからないことが多いです。
そのため、譲渡先を広く探しつつ、知り合いのC株式会社に正式に営業譲渡を提案する、ということが多いです。
C株式会社は、場合によっては財務DDを実施して、飲食店Bの赤字原因が何かや赤字原因を除去できるかどうか等を調査することがあります。
そのうえで【譲渡対価〇〇円】その他譲渡条件について詰めた交渉を行います。
以上のように、M&A仲介業者等にA株式会社や飲食店Bの機密情報を開示することになりますので、事前に機密保持契約書を取り交わします。
以上の手順で飲食店Bの買い手(営業譲渡先)を探し、譲渡条件がまとまれば合意に進むことになります。
以上が①飲食店の営業譲渡に向けた準備となります。
後日、②営業譲渡の実行(負債の切り離し)・③営業譲渡後の運営会社の破産・清算についてもブログにアップしてきます。
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中小企業の休廃業・解散見込み5万社の衝撃 ~今日の日経記事より
今日(2020年5月31日)の日経新聞朝刊に「中小、休廃業・解散5万件」という見出しの記事が掲載されていました。
2020年の中小企業の休廃業・解散が5万件にのぼる見通しであり、過去最高になる見込みとのこと。また、休廃業が5万件になれば20万人の従業員に影響が出ると予測されているとのこと。
本コラムでは、この記事について深堀したいと思います。
「休廃業」とは、破産や民事再生といった裁判所を通じた清算・再生ではないため、実態の把握が困難です。
ですが、債務超過ではなく、資産超過の状態で、「続けられるけど見通しが悪いから早めに廃業して清算しよう」という判断に基づいて休廃業がなされます。
具体的には、「経営者が高齢化しており後継者がいない」「見通しが厳しくて債務超過に転落する前に清算したい」といった様々な理由があります。
重要な点は、「今は続けようと思えば続けられるけれど、ここで廃業する」と判断する中小企業が5万社にのぼる見込みであり、20万人の従業員に影響が出るということです。
記事には、高齢を理由に廃業を決断した飲食店事業者や「あきらめ時」と判断した経営者の心情が記載されていました。
ですが、廃業を決断した中小企業が、「事業譲渡」といったM&Aを検討しなかったのか、本当に「コア事業」について高い事業価値があったのかどうか、という点は記事では触れられていませんでした。
報道では、どうしても「休廃業5万件」といったインパクトのある数字に焦点が当てられますが、突っ込んで考えると、「休廃業を決断した中小企業のコア事業の価値が高いものかどうか」「継続可能かどうか」という点が重要になります。
休廃業を考える際には、コア事業の価値と継続可能性という点がキモになると考えています。
また、こういった報道を見ると、
「事業継続ができるのであれば、事業譲渡などのM&Aの手法を利用して別会社が事業を継続するということができないものか?」
「M&Aが大企業だけでなく、中小企業にも広がってきているという報道もあるけれど、やはり中小企業のM&Aは手数料が安価になってしまい仲介会社が敬遠してしまうため、広がらないのか?」
と疑問に思ってしまいます。
今後も中小企業のM&Aや事業再生に関して、幅広く本コラムにて紹介していきたいと思います。
法人破産をご検討の方に③ ~事業価値と清算価値の算定
前回から引き続いて、法人破産についてです。
法人の倒産について当事務所に法律相談にみえる会社経営者の方は、
「債務超過で、しかも後継者がいないので廃業したいですが、破産は避けたいです。」
とおっしゃる方が多いです。
しかし、事業を生かし、債務については破産で整理する、という方法が考えられます。
債務超過の会社の廃業=すべて破産、ではありません。
「破産を避ける」主要な理由は、大きく分けると二つです。
①取引先や従業員に迷惑をかけたくない
②経営者が連帯保証をしているため、会社の破産=経営者の破産となるため
②については、前回のコラムにて説明しました。今回は①を中心に説明します。
①のポイントは、「企業のコアとなるA事業が継続可能かどうか」=収益性や将来性があるか、という点です。
仮に、企業のコアとなるA事業に収益性や将来性が見込まれるのであれば、企業の事業価値を適正に算定した上で、取引先や従業員を含めて事業を譲渡する(支援先や第二会社等への譲渡)ことによって、取引先や従業員への迷惑は最低限に抑えることが可能です。
そのためには、「企業の事業価値を適正に算定」する必要があります。
具体的には、公認会計士の先生に依頼して、事業価値の算定と清算価値の算定を行います。
「事業価値の算定」は、コアとなるA事業の将来性や収益性を基にした事業の価値(事業譲渡した場合の対価)を算定することです。
「清算価値の算定」とは、企業が破産して清算に至った場合、債権者(金融機関)に対して、どの程度の配当が見込まれるのか算定することです。
公認会計士の先生による「事業価値の算定」と「清算価値の算定」を基に、企業のコアとなるA事業の譲渡(取引先や従業員を含めた事業の譲渡)について検討することになります。
その結果、事業譲渡が実施されますと事業(取引先や従業員を含めた事業)は別会社において生き続けることになります。
事業譲渡後、企業には主に金融負債が残るため破産する場合が多いですが、金融機関と協議した上で、破産ではなく特別清算によって処理することもあります。
当事務所では、企業倒産(破産)、廃業や清算について専門的に扱っております。
これらの破産、廃業や清算、事業譲渡に関する法律相談は初回30分無料にて行っております。まずはお気軽にご連絡ください。
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2020年は企業倒産が増加? 中小企業の後継者難
本年もよろしくお願いいたします。
2020年1月10日の日経新聞朝刊に「企業倒産 一転増加へ」と題する記事が掲載されました。
日経電子版はhttps://www.nikkei.com/article/DGKKZO54225870Z00C20A1EE8000/
記事によりますと、リーマン・ショックがあった2008年を直近のピークに減ってきた企業倒産が増勢に転じる見込みであり、2019年は1~11月の倒産件数が約8千件。通年で2018年実績(倒産件数:約8200件)を上回り、2020年も増加傾向が続く見通しとのこと。
とりわけ、中小企業において後継者難から事業継続に行き詰まる事例が目立つと指摘されています。
実は、近年は倒産件数が減少傾向にありました。
しかし、2019年から2020年以後、倒産が増加するとのことです。
たしかに、当事務所でも、昨年11月ころから中小企業の破産や事業再生の相談が増えています。
相談の中で、中小企業の経営者の方から
「事業が苦しくなってきたが、後継者がおらず、取引先や従業員に迷惑をかけたくないので、事業をやめるにやめられない」
「事業をやめて倒産すると、自分自身の連帯保証によって自己破産になってしまう」
という悲痛な声を耳にします。
しかも、じっくりと相談にてお話をうかがうと
「コア事業は強い」
「特定の商品の売り上げは伸びている」
というケースがほとんどです。
しかし、中小企業においては競争力のある「強み」を有しているのに、営業力やウェブ対応の遅れといった要因により「強み」を活かしきれていないことが多いのです。
2020年1月10日の日経新聞朝刊には「生産性向上の痛みから逃げるな」と題するオピニオンも掲載されているのですが、その中で、中小企業が小さいままでは生産性が向上しない可能性が高いので、中小企業の合併・統合を進めて生産性を向上させるべきとの意見が掲載されています。
日経電子版はhttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO54217010Z00C20A1TCR000/
そうだとすると、中小企業においては競争力のある「強み」を事業譲渡やМ&Aによって移転することは、重要な経営戦略・組織再編の方法として位置づけられると考えられます。
当事務所では、事業再生、事業譲渡・M&Aやについても専門的に扱っております。
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上手な会社のたたみ方 ④「廃業後の生活費」・「廃業コスト」
前回から引き続いて、上手な会社のたたみ方です。
すこし古い資料ですが、中小企業庁が平成26年5月に公表した「第2創業支援、廃業円滑化について」(引用:中小企業庁HP)によりますと、廃業する場合の不安は
1位「廃業後の生活費」(58%)
2位「廃業コスト(設備廃棄)」(20%)
とのことです。
上記の中小企業庁の資料では、「廃業後の生活費」については小規模事業共済の活用、「廃業コスト(設備廃棄)」に対しては事業整理のための融資の利用をすすめています。
しかし、それだけでは不十分でしょう(中小企業庁の資料でも、制度の拡充等が指摘されていました)。
「廃業後の生活費」と「廃業コスト(設備廃棄)」の不安を根本的に解決するためには「核となる事業(コア事業)」を確認した上で、事業譲渡やM&Aを実施してコア事業をスポンサーや新会社に移転し、残余の事業のみを廃業し、さらに旧経営者はコア事業の継続のためにスポンサーや新会社のもとで一定期間の雇用を継続する、という方法をとるべきと考えます。
これにより、残余の事業のみが廃業となるので「廃業コスト」をおさえることができます。
さらに、コア事業の継続・引継のために一定期間とはいえ雇用継続することにより「廃業後の生活費」を確保することもできます。
ですので、廃業を考える場合には、コア事業の収益性や継続性を確認して、スポンサーや新会社の移転を検討すべきでしょう。
当事務所では、廃業や清算、事業譲渡・M&Aやについても専門的に扱っております。
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上手な会社のたたみ方 ③債務超過でも会社をたたむ方法
今回は、最近増えている「廃業」についてです。
2019年2月に帝国データバンクが公表した資料によりますと
2018年 愛知県の「休廃業・解散」の企業:1076件
これに対して、倒産した企業:638件
業種別に見ますと、「休廃業・解散」の企業のうち、
建設業:342件(全体の31%)
卸売業:177件
サービス業:172件
ちなみに、代表者の年齢別ですと70代が343件と最多です(全体の36%)。
廃業の相談にくる会社経営者の方は、
「後継者がいないので廃業したいのですが、破産は避けたかったので、決断までに時間がかかってしまいました」
とおっしゃる方が多いです。しかし、債務超過の会社の廃業=破産ではありません。
「破産を避けよう」と思うあまりに、早い時期に専門家への相談のタイミングを逃してしまうと、かえって問題が大きくなりかねません。
「破産を避ける」主要な理由は、大きく分けると二つです。
①取引先や従業員に迷惑をかけたくない
②経営者が連帯保証をしているため、会社の破産=経営者の破産となるため
②については既にコラムでも説明していますので、今回は①を中心に説明します。
①についてのポイントは、「企業のコアとなるA事業が継続可能かどうか」=収益性や将来性があるか、という点です。
仮に、企業のコアとなるA事業に収益性や将来性が見込まれるのであれば、事業価値を適正に算定した上で(公認会計士に依頼して算定することが一般的です)、取引先や従業員を含めて事業を譲渡する(支援先や第二会社等への譲渡)ことによって、取引先や従業員への迷惑は最低限に抑えることが可能です。
具体的な方法としては、企業から取引先・従業員を第二会社・スポンサー企業に「収益性・将来性のあるA事業」を適正な譲渡対価にて譲渡(事業譲渡・会社分割が一般的です)する方法です。
その後、企業には主に金融負債が残りますが、金融機関と協議した上で、破産ではなく特別清算によって処理することも可能です。
以上のように、債務超過している会社の廃業=破産ではありません。
当事務所では、企業(法人・個人事業主)の廃業や清算・特別清算、破産や事業譲渡を専門的に扱っております。
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事業譲渡+特別清算による再生スキーム ④リスケ後の中小企業再生支援協議会スキーム
前回からの続きです。「リスケ後の出口戦略」は、相談や質問が多いテーマの1つです。
さて、リスケ後の中小企業再生支援協議会(支援協)スキームについて具体的な流れやポイントを説明していきます。
<案件の概要>
A株式会社 東海地方の製造業(50年以上の社歴)
社員数:30名未満 売上高:5億未満
後継者不在
業績の落ち込みより数年前からメインバンク主導(支援協の協力)によるリスケを継続中。
<流れ・スケジュール>
1月:最初の相談
A社とコンサルタント同席
2月:第1回バンクミーティング
弁護士側から第二会社方式(スポンサーへの事業譲渡型)による事業再生の概略を説明
3月:メインバンク+保証協会との事前打ち合わせ
→「支援協によるスキームであれば検討する」との方針を確認
4月:2回目のバンクミーティング
支援協によるスキーム(いわゆる検証型)に基づいて、スポンサーへの事業譲渡+金融機関に一時弁済+A社の特別清算を進めることを説明
支援協の再生計画案の原案を説明+公認会計士によるデューデリジェンスの実施
6月:3回目のバンクミーティング
支援協の再生計画案の修正案を説明+公認会計士によるデューデリジェンス結果の報告+支援協による検証結果の報告
→金融機関から支援強に対して再生計画案の「同意」
7月:事業譲渡 クロージング
8月:金融機関に対する一時弁済の実施(原資:事業譲渡対価)
9月:A社 解散→特別清算の申立
以上の通り、金融機関による結論が出るまでに半年、事業譲渡のクロージングまでに7ヶ月を要しています。
ですが、金融機関側の稟議の準備やスポンサーとの協議といった事項がありますので、非常に早い進行かと思います。
次回以降のコラムにおいて、各項目におけるポイントをご説明していきます。
当事務所では、事業譲渡や特別清算による事業再生(破産や民事再生ではない、再生方法)についても専門的に扱っております。
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